湾岸諸国にキリスト教教会建設

2008年3月23日

 湾岸諸国の一国カタールに、キリスト教の教会が建設された。そのことは大きなニュースとして、世界中に伝えられた。これまで、カタールにキリスト教の教会がなかったのは、この国にはキリスト教徒がいなかった、という単純な理由からだ。

 しかし、今では世界中のビジネスマンが、この大ガス生産国の富に群がり、そのなかには沢山のキリスト教徒が含まれている。そして、サウジアラビアから移動したアメリカ軍の基地が、カタールに建設されたことも、キリスト教会の必要性を、高めたのであろう。

 もちろん、アメリカ軍の基地内には、キリスト教の教会もユダヤ教のシナゴーグもあるだろうが、それはあくまでも私的なものであって、公のものではない。そこで、キリスト教の教会が、カタールの街中に必要になった、ということであろう。

 しかし、それは好ましからぬ感情を、カタールのイスラーム教徒たちに、抱かせたものと思われる。当然のこととして、キリスト教会が攻撃を受ける、危険性を指摘する人たちは少なくない。

 先日、バチカンとサウジアラビアの間で、秘密の交渉が行われている、というニュ-スが伝えられた。一体、バチカンとサウジアラビアの間で、何を話し合っているのであろうか、と関心を持っていたところ、両国の間で、キリスト教の教会を、サウジアラビアの領土内に、建設する話が進んでいる、ということだ。

 サウジアラビアで、イスラーム教原理主義者が増加した裏には、1979年に起こったメッカ襲撃事件がきっかけだった、という意見を主張する、イスラーム学者や社会学者たちがいる。

本来、イスラーム法では、メッカに異教徒が入ることを禁じているにも拘らず、メッカのカーバ神殿に立てこもったオタイビと、彼を支持し追従する、イスラーム教原理主義者の一団を逮捕するのに、サウジアラビアの軍隊では対応しきれず、フランスの特殊部隊を投じた、ということが問題になった。

今回の、バチカンとサウジアラビアとの間で進められている、サウジアラビア領土内にキリスト教の教会を建設する話は、今後大きな波紋をイスラーム世界に呼び起こすことであろう。

平和のための祈りの場である教会が、その全く逆の対立の原因になるとしたら、それはまさに神の悲しむところであろう。