イラン選挙とその後

2008年3月20日

 イランで行われた選挙、は完全な保守派、もっと言えばアハマド・ネジャド大統領派の勝利ということになっている。政府は高投票率で、保守派が勝利したことを宣伝しているらしいが、どの程度の高投票率であったのかについては、詳しいデータを目にしていない。

 イランの選挙では、投票率の本当の数字がどうなのか、保守が勝ったのか、改革派が負けたのかを言う前に、どのような方法で、立候補届けが行われるのかを、知る必要があろう。

 各立候補者は、政府の立候補届け者を審査する機関によって審査され、現在のイランの国家運営システムに合わない者は、立候補者リストに乗せられない。つまり立候補以前、選挙以前の段階で外されるのだ。  したがって、選挙が行われれば、保守派が勝利するのは当たり前であろう。取り立てて投票率がどうの、改革派がどうのと騒ぎ立てるほどのことでもない。それより重要なのは、選挙後のイランが、どの方向に向かって、進んでいくのかということだ。

 選挙が終わって1週間ほどすると、アラブの新聞に過去1,5ヶ月から2ヶ月前の間に、イランの週刊誌9誌とが発行禁止となり、13誌紙が発行禁止の警告を受けている、というニュースがあった。これは選挙を前に、反体制派のマスコミが、政府非難を展開することを、事前に阻止するためであった、と思われる。  この記事の前には、たしはBBCのニュースだったと思うが、イラン人のジャーナリストが、これまで何度も記事の指し止めを受け、所属していた雑誌や新聞社が発行禁止、閉鎖を命じられ、生活の手段を失い、途方にくれているというものがあった。

 イラン国内には、多くの問題があろう。そのことに関するニュースが、イラン国外に伝わる量が少ないことから、イラン・ネタはニュースになりやすいのであろうが。しかし、それが拡大されて報じられるとき、イランの改革派の人たちを擁護するつもりで流すニュースが、かえってイラン政府に締め付けを厳しくする、口実を与える場合もあることを知るべきであう。  不都合が生じた場合、政府は外国と連絡を取り、反体制の活動をしている、という嫌疑をかけやすくなるからだ。一定の国の人たちのことを思う場合、時には傍観者でいることも、大事なのではないか。