エジプトのパン騒動限界点を超えた?

2008年3月19日

 エジプトでは各地で、パンの値上げに抗議するデモが起こり、既に死者も出ているという報道がある。

 このパンの値上げ騒動は、貧民層が買っていた最低価格のパンが、10倍から15倍に値上げされたことによって、起こっているということだ。その主な原因は、小麦の国際価格が昨年の夏から、3倍以上には価格が上昇したことだ。

 この安価なパン屋の前には、長蛇の列が出来、その列の順番を争ってのケンカが起こり、死傷者までも出る事態まで発展しているということだ。

 事態を重視したムバーラク大統領は、緊急閣僚会議を開き、内務省や軍が持っているパン工場にパンの生産量を増やし、内務省職員や軍人用のパン屋に対し、一般人にも支給するように命令すると共に、この責任はナジーフ首相にあるとして、厳しい叱声の言葉を浴びせたようだ。

 日本人には、パンの値上げ程度で、こうした事態が起こることは、考えも及ばないだろうが、エジプトを始めとした発展途上国では、食料(パンなど)の値上げは、簡単に暴動に発展し、体制を揺さぶる危険なものなのだ。

 今回のムバーラク大統領の緊急措置は、同大統領が、事態を非常に重く受け止めた証であろう。