バルザーニがアラブトルコイランの連帯を呼びかける

2008年3月16日

 クルドの組織KDP(クルド民主党)のリーダーであり、現在、クルド自治政府のトップ(彼らは大統領と呼ぶ)バルザーニ氏が、アラブ、トルコ、イランに対し、連帯を呼びかけた。

 これは、クルドが住民の多数を占める、エルビル市で開催された、アラブ議員連盟会議で語ったものだ。同時に、バルザーニ氏は、アラブが正式にクルド国家を認める時期が来た、と語っている。

 この発言がバルザーニ氏によって語られたのには、しかるべき意味があろう。今回のアラブ議員連盟会議が、クルド地区のエルビルで開催されたこと自体が、大きな意味を持っているものと思われる。

 イラクの大統領が、クルド出身のタラバーニ氏であり、現在、イラクがアラブ会議を開催することが出来るのは、クルド地区だけに限られているからであろう。

 しかし、その流れのなかで、クルド民族がアラブ世界、あるいは中東世界のなかで、正式に独立した民族体であることを、認められる時期が来た、ということであろう。そのことは、これまでのように、一定の国のなかにあって、クルド人の存在を否定することが、難しくなり不都合が生じてきたからであろう。

 イラク国内では、クルド民族が正式に、イラク国民を構成する民族として認められたが、同様に、トルコでもクルド民族が、トルコ民族とは異なる民族として、ほぼ正式に認められている。

 残るのは、シリア、イランなどだが、これも時間の問題であろう。しかし、クルド民族が中東地域で承認されたことが、クルド民族の独立には繋がらないということを、今回のバルザーニの発言が暗に示しているのではないか。