イラン選挙・若者層は燃えているか

2008年3月13日

 イランの国会議員選挙が、3月14日に行われる予定だが、どうも若者層の間で、以前の選挙時に比べ、選挙への関心が盛り上がっていないようだ。

 以前は、1990年代にはハタミ氏の改革路線を支持し、若者がハタミ氏を担ぎ、大統領に就任させることに成功し、次いでアハマド・ネジャド氏を大統領に押し上げたのだが・・・。

 しかし、ハタミ大統領の時代には、何の変化も改革も生まれなかった、というのが若者層の判断だった。そして、その全く反対の位置を占めていたアハマド・ネジャド氏が、ハタミ氏に代わって大統領に押されたのだ。

 これまでに、この二人の全く対立するキャラクターの人物を試してみたが、どうも大勢には何の変化も起こらない、ということをイランの青年層、なかでも大学生は感じているようだ。

そのこともあり、アメリカとの対立ムードのなかで、ハタミ元大統領を含むイランの権力者集団は、何とか選挙の投票率を高め、イランの民主的なイメージを、世界に向けて発信すると同時に、政府が国民から支持されている、という印象を作りたいようだ。

しかし、イラン国民の間では、石油価格が高騰しているにも関らず、生活は豊かにならない、という現実を前に、権力者層に対する、不信感と不満が広がっているようだ。

 中東のイラン問題専門家の一人は、その理由を、「社会的締め付けの強化、」「インフレの昂進、」「改革派学生に対する締め付けの強化、」などだと指摘している。

 あるイランの若者は、「ハタミ大統領は8年間に渡って大統領職に留まったが、何の成果も生み出さなかった。だからアハマド・ネジャド大統領にも同じ8年間の大統領就任期間を与えてみよう、それが公平なのだ。」と語ったとアラブの新聞は伝えている。

それもまた真理かもしれないが、このイラン青年の言葉の裏には、何となく、政治に対する希望というよりも「どうにでもなれ」というあきらめムード、失望感が、イランの若者層の間で広がっている、ということを示しているのではないか。

 イランの若者層の力を無視して、政治が行われた場合、暴発する危険性がある事を、イランの権力者層は忘れてはなるまい。それはイランの人口構成で、若年層が異常に多いという、無視できない現実があるからだ。イランの30歳以下の人口は、全体の半分以上を占めているのだから。