マハムード・アッバース議長はヨルダンのアンマンを訪問し、アブドッラー国王と話し合い、その後の記者会見のなかで、アメリカはスーパー・バイザーとして 留まるのではなく、和平交渉に積極的に参加しなければ、２００８年内のパレスチナ国家の独立は、達成できないと語った。

そして、イスラエルはパレスチナ地区に対する、対応の強化を止めなければならない、とも語っている。ガザに対する経済封鎖は、即刻止めるべきだとも語った。

ハマースのスポークスマンであるサーミー・アブー・ズフリーも、時を同じくして、ガザの状況は爆発寸前だ、と警告している。

シリアの駐米大使イマード・ムスタファも、イスラエルとパレスチナの和平交渉は成果を生まない、と否定的な見解を述べている。

どうやら、シリアもパレスチナも、アメリカが昨年１１月のアナポリスで開催した中東和平会議が、単なる催し物であり、真剣に和平を実現しようとしたものではなかったことに、気が付き始めたようだ。

マハムード・アッバース議長がこの段階で、アメリカの関与が真剣でないことに苦言を呈したのは、あくまでも彼の責任逃れであろう。この段階で彼がアメリカ の姿勢に積極性がないことを口にしていれば、後で何の成果も出なかった場合に「自分は苦言を呈している｣と言い訳できるからであろう。

シリアは｢それ見たことか｣ということであろうか。どうやら３月を前にした現段階で、パレスチナ問題の解決へのめどは、全く立たなくなった、ということで あろう。そうなれば、シリアはパレスチナの反マハムード・アッバース派に対し働きかけ、パレスチナ内部を混乱させることが出来よう。

そのことによって、シリアはパレスチナ自治政府に対し、関与を強めることが出来よう。しかし、それはシリアが、イスラエルに対して挑戦的な姿勢をとるということとは別ではあろうが。