トルコ・イランのビジネスマンが接近

2008年2月25日

 イランの自動車メーカーであるホドウロ社が、ブルガリアに建設を予定していた工場を、トルコに建設することになりそうだ。

 これは中東地域において、画期的な出来事だと私は受け止める。それは、かねてから中東の大国三カ国が、連携することが出来れば、中東地域に横たわる多くの問題を、中東各国間で解決できると考えているからだ。

 その中東の三大国とは、述べるまでもなく、イランであり、トルコであり、エジプトだ。これら三国はいずれも、8千万人に近い人口を擁している。そのため、軍事的にも大国であり、しかも、経済的にも自国内市場だけを相手にしても、産業が十分に成長する規模なのだ。

 その能力を持つ三国が協力するようになれば、これだけで2億2千万人を超える人口になり、そこから出てくる力は計り知れない。

 しかし、これまでこれら三国間の関係は、決して良好なものではなかった。エジプト・イラン関係では、サダト大統領暗殺犯をイランが英雄視したために、エジプトはイランに反発してきたし、エジプトのキャンプ・デービッド合意に対してイランは反発してきていた。

 イランとトルコとの関係も、決していいものではなかったし、トルコとエジプトとの関係もよくなかった。

 しかし、過去2年の間に、これら三国の関係は大幅に改善されている。先の記事でご紹介したように、エジプトとイランとの関係は、ほぼ正常化したといっても過言ではあるまい。

 また、トルコはエジプトに対する最大の投資国になっている。そうした流れのなかで、今回イランがトルコに対する投資を始めるということは、ますます三国間の協力と信頼関係が、強まるということであろう。

 そうなると、アメリカはこの動きに対して、反発するのか、あるいは是認し迎合していくのかの、いずれかを選択しなければなるまい。アメリカが賢ければ、中東の三大国を敵に回すような動きには、出るべきではなかろう。

 どうやら、中東三大国の関係改善が、アメリカの対中東政策を変え始めるのではないか、という期待が生まれてきた。そうなると、今回の出張以前から私が訴えてきた、これら三国の協力による、中東・中央アジアで進めるべきメガ・プロジェクトが、現実のものになっていく可能性が、出てきたということだ。今回の出張で、関係国の要人たちに話したところ、基本的に各国は共に私の提案を、前向きに受け止めてくれた。進展を期待したい。