結果的には歓迎されなかったガザ住民

2008年2月24日

 ガザとエジプトを分離する壁が壊され、物資不足に悩んでいたガザの住民が大量にエジプト国内に流入したということは、この欄で大分前に伝えたし、日本の各紙も取り上げた出来事だった。

 しかし、伝えられていない事実がこの事件の裏にはあった。なんとガザの住民がエジプト側に持ち込んだドル札は、7-80パーセントが偽札だったというのだ。

ガザの住民がなだれを打ったように、エジプトに入ってきたとき、エジプト側には両替屋が姿を見せ、非常にスムーズにドルからエジプト・ポンドへの両替が行われ、ガザの住民は両替したエジプト・ポンドで、大量に物資をエジプト側から買い付けて帰っていった。

このガザの住民がエジプト側に持ち込み、エジプト・ポンドに両替して買い物をした偽ドル札が、あまりにも精巧に出来ていたため、イスラエル製ではないか、という憶測がエジプトの警察関係者の間で、ささやかれているということだ。

一説によれば、イスラエルとのボーダーを閉鎖して、ガザを孤立させたイスラエルが、ガザの住民にエジプト側とのボーダーを開かせ、偽札を使わせることによって、エジプトとガザ住民(ハマース政府)との関係も悪化させようとしたのだというのだ。その結果、ガザが完全に孤立することを、イスラエルは意図していたというのだが??

常識的に考えれば、ガザの住民が手にするドル札は、イランからの援助であり、アラブ諸国からの援助である、と考えるのが普通だと思うのだが??

そもそも、その出来事が事実であるかどうかは、短期間のエジプト滞在では確認のしようがないが、もし事実であるとすれば、エジプト側の人たちにとって、これほど不愉快なことはあるまい。

苦しんでいるパレスチナ人を、少しでも喜ばせてやろうと思った好意が、全く仇になるのだから。それでもエジプトは、今後もパレスチナの面倒を、見なければならないのだろう。

かつてサダト大統領は、「エジプト国民はアラブの大義のために犠牲になり過ぎた」としてイスラエルとの和平を結んだが、今後はパレスチナ問題に対する関与の仕方を変えていくかもしれない。そのときパレスチナ人はやっと、エジプトの政府と国民のパレスチナに対する思いやりと、有難さに気が付くのではないか。