トルコの公定歩合引き下げは正解か

2008年2月23日

 アメリカでサブプライム問題が爆発したことにより、世界中がその影響を受け、経済の後退期を迎えている。先進諸国は大きなダメージを受け、中進諸国もその例外ではないようだ。トルコもその埒外にはなかったようだ。

トルコの中央銀行が金利の引き下げを決定した。これまでの17・5パーセントから、15・25パーセントまで下げるようなのだが、そのことが今後のトルコ経済にどう影響してくるのだろうか。

 これまでトルコの経済が右肩上がりに成長してこれたのには、幾つもの理由があろう。その中のひとつは、高金利による外国からの資金流入があった。  17・5パーセントの金利に加え、トルコ・リラの値上がりが、年率で数パーセントあることから、外国の投資家たちは、合計約20パーセントの利益を、約束されていたのだ。

これが今回の公定歩合の引き下げによって、どの程度の影響が生まれるのか今後の動向を見続ける必要があろう。 そもそも、今回の公定歩合の引き下げを、中央銀行に決定させた理由は、アメリカの景気後退による、トルコ経済への影響があるが、2001以来、高成長率を記録してきたトルコ経済が、過去3ヶ月で見ると大幅に低下しているのだ。

この時期、トルコの経済成長率は1,5パーセントに下がっているし、失業率も過去6年で最高の10,1パーセントに達した。今回の中央銀行による公定歩合の引き下げは、トルコ国内ではあまり深刻に受け止めていないようだが、果たしてそうだろうか。 加えて、インフレ率は政府が考える4パーセント台ではなく、8パーセント台にあるが、インフレ率を下げたいということも、今回の決定の一因となっているようだ。

一説によれば、トルコのビジネスマンたちは、最近になって国内よりも国外への投資に大きな興味を抱いており、ブルガリアやウクライナなど周辺諸国への投資に力を入れているようだ。 これらのビジネスマンの動きが、トルコからの資金の国外流出を生み、しかも、公定歩合が引き下げられたことによって、外国からの資金流入が減少した場合(既にトルコの公式筋は2008年度の外国からの資金流入額は、200億ドル以下にとどまると見ている)、インフレ抑制や失業問題の解消以前に、トルコの経済成長の減速の危険性を拡大するのではないか、という懸念も生まれるのだが。