A・ローハーニ師がA・ネジャド大統領を非難

2008年2月28日

 イランのアハマド・ネジャド大統領は、ある意味で最高のアジテーターであろう。彼のアジテーターとしての能力は、国民の不満を外部に向け、国内を混乱から救う上では、効果的かもしれない。

 そのために、彼は大統領に選ばれたのであろう。しかし、そのアハマド・ネジャド大統領のアジ演説も、限度を超えると、イランの国益を損なう危険性がある。そうした兆候が強く現れている昨今、イラン国内の良識派の間に、不満がたまっていたようだ。

 そして、遂に堪忍袋の緒が切れたハサン・ローハーニ師が、アハマド・ネジャド大統領を真正面から非難した。彼曰く、他国を口汚く罵ることは外交ではないとし、アハマド・ネジャド大統領が言った「世界がこの汚れたバクテリアを創り出した、いまやシオニスト体制は地上から抹殺されるべき野獣だ。」といった内容の演説をしていたことに対する非難を行ったのだ。

 ハサン・ローハーニ師は、イランは柔軟な考えを持ち、オープンで、対話を志向する国であることこそ、主張すべきだというのだ。

このまともな考えの持ち主であるハサン・ローハーニ師は、アハマド・ネジャド氏が大統領に当選するまで、イランの核交渉の代表していた人物であり、イランの宗教者最高会議のメンバーであると同時に、ハメネイ師やラフサンジャニ師に近い人物だ。

その彼から、アハマド・ネジャド大統領に対する、痛烈な非難の言葉が出たということは、アハマド・ネジャド大統領の役割が終えつつあることを、示しているのであろう。

3月14日には、イランの国会議員選挙が実施されるが、その結果はいまのうちから予測できそうだ。つまり、アハマド・ネジャド大統領に近い人たちの多くは、落選する可能性があるということであろう。

ハサン・ローハーニ師は、人が尊敬されるのはナイフによる脅しではなく、その人の知識と倫理と能力によるのだとも語っている。つまり、アハマド・ネジャド大統領は、知識も道徳も能力もないということか?