シリアのパレスチナ会議強硬論が前面に

2008年1月27日

 シリアの首都ダマスカスで、1月23日から25日にかけて、パレスチナ各派の総会が開催された。

この会議には、およそ900人が参加したと伝えられているが、その結果は、これまで積み重ねてきたパレスチナ・イスラエル和平を、全面的に切り崩すものであったようだ。

 イスラエルに関する表現は「イスラエル」から、「シオニズム体」に変わっている。そのことは、当然のことながら、イスラエルの存在を、全面的に否定するという意味だ。 

 加えて、1967年に起こった第三次中戦争以前の、パレスチナの領土をパレスチナ国家の領域とする、という案は姿を消し、「川から海まで」という範囲に変わっている。

 「川から海まで」というのは、ヨルダン川から地中海までの間の土地全部、という意味であり、当然のことながら、イスラエルの存在を全く認めない、ということだ。

 また、パレスチナ難民の帰還については、個人の権利であると同時に、集団の権利でもあるとしており、先にブッシュ大統領が提案した、「代償を払うことにより帰還権を放棄する」という考えは、全面的に否定されたということだ。

 このダマスカスで開催されたパレスチナの総会には、PFLP、DFLP、ファタハなどは顔を出さなかったようだ

 アラブ諸国の大使にも招待が出されたが、これもほとんどが欠席したようだ。例外的に参加したのは、イエメン大使と南ア大使だけだった。もちろん、米英の大使も欠席している。

 問題は、何故この時期を狙って、シリアがパレスチナ総会の開催を、許したかということだ。(あるいはシリアが開催したと判断してもいいだろう)

 シリアはパレスチナ各派を前面に出し、欧米に対し、シリアを無視しては中東和平は進まない、と主張したいのか、あるいはシリアの権力内部で、強硬派が優位に立ってきたのか、のいずれかであろう。