パレスチナ大衆の信頼失うM・アッバース体制

2008年1月 5日

 最近行われた、パレスチナ人の論調査の結果が報じられているが、それによると、マハムード・アッバース議長がリードするファタハは、大幅に支持を失っているようだ。しかも、その主たる原因はマハムード・アッバース議長に対する不信によるということだ。

 マハムード・アッバース議長のリードする、ファタハに対する支持が39パーセント、ファタハに対抗するハマースに対する支持が、19パーセントだということだ。

 さる11月に行われた世論調査では、ファタハ支持が46パーセント、ハマース支持が13パーセントだったことからすると、大幅なファタハへの支持低下が見られるということだ。

 ファタハ支持の人たちは、ファタハが和平を実現してくれる、と期待しているようだが、現実には可能性は低いと見ているようだ。世界のパレスチナに対する支援金は増加しても、それが生かされてはいないという現実がある。

 さる12月に開催された、パレスチナへの援助の国際会議では、パレスチナに対する援助が、今後5年間の間に74億ドル、と決定されたが、その相当部分は使途不明金になるだろう。

 問題は、世界のパレスチナ援助の目的は何かということだ。つまり、パレスチナ問題をアメリカやヨーロッパ、イスラエルなどにとって都合のいい状況にしていくために行うのか、それともパレスチナ人を援助するための純粋な人道援助なのかということだ。現実はパレスチナへの援助は人道援助ではなく、政治目的の援助になっている。

 ガザではその日の食料に事欠く人たちが多数いるが、ファタハの支配する西岸地区には建ち豪邸が並んでいる。加えて、大型ベンツが走り回っているが、これらの相当部分は、外国からの援助資金の流用によるものなのだ。

 パレスチナ幹部の発想は「俺たちもアラブ人だ。アラブ産油国の連中よりも俺たちのほうが賢いのに、あいつらは俺たちよりも金持ちだ。だから俺たちが金持ちになって何が悪い。」その発想からは金を手にすることが、いかなる方法であれ合法になるのだ。

 日本のパレスチナ援助は正しく使われているというが、それを十分に説明できるのだろうか。アラブ商人のほうが数枚上手だ。日本のやわな神経では、援助金が正しく使われているか否かについて数パーセントも確認できまい。

そうであるとすれば、援助の必要な人たちに直接届く形の、支援をすべきであろう。それを行うには危険が伴うからいやだというのでは、援助などということを、行う資格はあるまい。