玉突き現象を起こしたガス供給イラン・トルコ

2008年1月 2日

 トルクメニスタンはロシアに次いで第二のガス産出国だが、この国のガスはほとんどがロシアを経由して、西ヨーロッパの消費地まで送られているようだ。昨今の石油ガス価格の高騰により、潤っている国のひとつに、トルクメニスタンは含まれている。

 しかも、ロシアは自国の経済状態が大幅に改善されたことと、エネルギーの国際価格の上昇に合わせ、トルクメニスタンからのガス購入価格を、50パーセント引き上げている。こうしたこともあり、トルクメニスタンはロシアとの関係を、改善しつつあるのではないかと思われていた。

 ここに来て、トルクメニスタンがイランに対し、ガス供給を停止したことが、この推測をより確かなものにしたようだ、と見る専門家もいる。(トルクメニスタン側はイラン向けガス供給が停止した理由を、あくまでも技術的なものだと説明している。)

ロシアに輸出する分を削って、イランに輸出しなければならないという義理だては、トルクメニスタンとイランとの関係ではないからだ。

 しかし、困ったことにはイランへの、トルクメニスタンからのガス供給が途絶えたことから、イランからのトルコへのガス輸出が、停止する事態が起こっているということだ。

イランの北部諸都市はパイプ・ラインによる輸送上の問題から、トルクメニスタンのガスが供給されているが、このガスが供給されないとなれば、イラン南西部で生産されるガスを充当するしかないのだ。

しかしこうなると、そこで生産されたガスがトルコに送られていたことから、トルコへの輸出が滞ることになる。トルクメニスタンのガス輸出が止まったことにより、トルコへのイラン・ガスの輸出が止まるという玉突き現象を起こすことになった。

 当然のこととしてトルコは、トルクメニスタンに対して、イランへのガス供給を、早急に再開するよう働きかけるだろう。そこで、トルクメニスタンが早急にトルコの要請に応じるか否かだ。両国関係は非常に強いのだが、ロシアの中央アジアへの台頭の中で、それがどう働くのか見ものだ。