期待されるエジプト・イランの和解に希望

2008年1月29日

 中東の三大国エジプト、イラン、トルコの関係が正常になれば、ほとんどの中東地域の問題が、中東の国々の間で解決できるのではないか、という期待を持ち続けて久しい。

 これまでも述べてきたように、最近になってトルコとイランの関係が改善し、両国は多くの分野で、協力する形になってきている。トルコとエジプトの関係も、ほぼ問題ないのではないかと思える。一時期のように、エジプトがアラブ諸国の盟主だ、と主張する傾向が和らいできているからであろう。

 残るのは、エジプトとイランとの関係だが、これも最近になって、改善の兆しが見え隠れするようになった。今月に入り、これまで核開発問題の交渉で、前面に立って活動してきていた、ラリジャニ氏がエジプトを訪問した。

 アハマドネジャド大統領も、ムバーラク大統領に電話をして、ガザ問題の解決に向けた、協力の意思を伝えている。二人の会話も、決してぎこちないものではなかったようだ。

ラリジャニ氏のエジプト訪問時に、エジプト側を代表して、ラリジャニ氏の対応に当たったのは、アブルゲイト外相だったが、この二人の会話もいたってスムーズなものだったようだ。

 ただ、エジプトとイランとの間には、これから解決していかなければならない、幾つかの問題が横たわっていることも確かだ。

イランの側からすれば、イラン・イラク戦争時に、エジプトがイラクを支持したことは、忘れられない敵対行為であったろう。また、エジプトがサダト大統領の時代に、イスラエルとの外交関係を正常化させたことも、許せないことだった。

加えて、ホメイニ革命が戦い、遂には打倒したイランのパーレビ国王が、国外脱出した後、エジプトが最終的な死に場所を与えたことも、不愉快なことであったろう。

パーレビ国王の墓は、いまだにカイロの一角にあるモスクの中にあり、そこでは、イマームが毎日コーランを読誦してもいるのだ。エジプト側からすれば、当然の善意の証ということであろう。

しかし、多くのイラン国民を、圧政下に置いたパーレビ国王が、たとえ死亡した後とはいえ、厚遇されることは不愉快なのであろう。うがった捉え方をすれば、エジプト政府はいまだに、パーレビ王家の末裔を支持している、とも取れるからだ。

そうしたハードルを飛び越えて、エジプト・イラン関係が、いま30年ぶりに回復しようとしているようだ。ガザ問題をめぐって、両国は支援協力を討議したが、当然のことながら、外交関係の正常化以外に、政治協力なども話し合われたようだ。

イランのモッタキ外相が、エジプトとの外交関係正常化を、希望する旨の発言をしたのに対し、エジプトのアブルゲイト外相も、イラン側が幾つかの点で歩み寄りを示してくれれば、外交関係の正常化は可能である旨の、前向きな発言をしている。

イランとエジプトの関係正常化は、もう少し時間を必要としようが、確実に前進している、と見ていいのではないか。もしエジプトとイランとの関係に前進があれば、中東の状況には大きな変化が、生まれることが期待できよう。