小さなパーテイで会ったイラク通の話

2008年1月30日

 昨夜、小規模なイラクに関係した集まりがあった。そこには、これまでイラクと仕事をしていた人たちが集まったのだが、どうも見ていると、OBという感じの年配者が多かった。

 「貴方は何時ごろイラクに?」「自衛隊と一緒に2004年の1月に入りました」「そうですか私は1980年代に、、。」いろいろな貢献を、イラクにした人たちであり、それぞれにイラクに対する、思い入れがある人たちのようだった。

 そんななかで、イラクの内情に詳しい人物が一人いた。早速、彼に日本人があまりしないような、質問を向けてみた。  日本企業や政府が、イラクに日本人を本格的に送り出すためには、現地の安全が最大のポイントであろう。したがって、現在の治安状況がどうなのか、という質問は当然のことであろう。

 もうひとつは、現在の状況が改善に向かっていても、将来、イラクが三分割されるのでは、たとえアメリカ軍が力づくで、安全な状態を創り出しても、安全な状態は長続きしない、と判断すべきであろう。 イラクが三分割されれば、地下資源の多い地域と、そうでない地域との間で、資源をめぐる闘争が起こる、と考えるのは当然のことであろう。ちなみに現在の段階では、イラクの石油資源は、北部と南部に偏っているといわれている。

 イラクの治安状況について、この人物は「1年から1年半で大分落ち着くだろう」と話していた、もちろん、それよりも早い時間に、安全の度合いが高くなることを、期待してもいたのだが。 彼の判断は、いたって正直な判断だろうと思った。もし半年とか今年以内に平和が実現する、というような言い回しをしたら、次の質問をする気にならなかったろう。

もうひとつの質問は、イラクの三分割についてだったが、これも非常に納得できる内容の返答だった。彼が言うには「イラクの海は南部にあり、大量の物資を輸入するためにも、輸出するためにも、海がもっとも便利なことは、誰にも分かろう。 もし、イラクが三分割されれば、港はシーア派の国(地域)だけが持つことになり、他のスンニー派の国(地域)やクルドの国(地域)は、海運と港の便利さを、享受することが出来なくなる」と言うのだ。

彼が言うには「同様に、ハイウエーをイラクの北から南まで通そうとすれば、国が三つに分断されているのでは意味がなくなるし、鉄道輸送も同じように、不便になってしまう」というのだ。 それでは、イラクは三分割しないで、どう存在していけるのか、という質問に対して、彼は「連邦の形をとり、それぞれの地域の利益を保証しあうことだ。そのためには、統一国家、中央政府がどうしても必要なのだ」と語っていた。

イラクを外側から見ていると、明日にでもイラクが三分割してしまいそうに思えたり、クルド地域は既に実質的に、分離独立しているではないか、と主張する人も少なくないだろう。しかし、イラク内部の人たちは、必ずしもそうは考えていないということだ。