パレスチナ開発という不思議な動き

2007年12月 9日

 パレスチナのガザ地区は、明日にもイスラエル軍の攻撃を受けようとしている。ガザは閉鎖され、そこに入ることも、そこから出ることも、パレスチナ人には許されていない。電力をはじめエネルギーの供給が制限され、まさに21世紀のジャングルのような状況が生まれているのだ。

 ガザ地区が、全く将来に対する展望が見えない状態にあるにも拘らず、他方では、パレスチナの産業開発、新都市建設のニュースが伝わってきてもいる。

 イスラエルのペレス大統領がトルコを訪問した際に、パレスチナの西岸地区に工業団地を設けよう、という合意がなされた。ペレス大統領は帰国後、西岸地区三箇所に、工業団地を建設する計画を語っている。それによれば、工業団地は西岸北部、中部、南部の三箇所に建設されるということだ。

 パレスチナ人実業家の間からも、西岸地区に新都市を建設する、という構想が発表されている。パレスチナ人実業家で、パレスチナの携帯電話会社を所有しているアブドルマリク・ジャーベル氏は、ラマッラ市の近くに、750エーカーの土地に、新都市を建設すると発表した。

 この新都市建設には6・5億ドルから7億ドルの予算が見積もられており、新都市は住宅、病院、学校、大学、ショッピング・モールなどで構成されるということだ。新都市の建設の結果、この新都市には、1万人の雇用が創出されるということだ。

 規模は小さいが、バッシャール・マスリ氏も、似通った新都市建設計画を発表した。こちらの新都市計画は、ラマッラ市とナブルス市の中間の、250エーカーの土地に建設される、少し規模の小さい開発計画だ。

 開発予算は2億ドルで、建設され販売される住宅は4000棟、価格は4万ドルから7万5千ドル程度ということだ。住宅以外には商業地域、病院、学校、ホテルなどが建設される予定だ。

 さて、種々の開発計画は結構なのだが、一体それがどう進められるというのだろうか。資金の出所は?安全の確保は?主体は誰が?水や電力の供給は?、、。数え上げたらきりがないほど、不安点や疑問点が多いのだが。

 すべてはイスラエル政府の意向に始まり、イスラエル政府とマハムード・アッバース議長率いるパレスチナ自治政府の、合意なしには出来ないことであろう。その合意の保証人には誰がなるのか?そして、すべてはトルコからの電力と水の供給なしには、進まない話であろう。

 イスラエル、パレスチナ、トルコの間、あるいはアメリカを含めたこれらの国々の間では、いまだに発表されていない、パレスチナ問題解決のための、秘密の合意があるということだろうか。

そして、この秘密合意から、ガザは完全に放置されるのであろうか?あるいは将来的には、エジプトがガザの面倒を見る、ということなのであろうか?。