イスラエルは教育熱心で、科学技術に優れた国家、というイメージが強かったのだが、最近出された世界の教育レベルの統計調査によれば、日本と並びイスラエルも、だいぶ順位を落としているようだ。

　教育レベルだけではなく、イスラエルにとって不名誉なもうひとつのトレンドがある。それは貧困層の増加だ。イスラエルの慈善組織の報告によれば、食糧の支援を求める貧困層が、２００７年には前年に比べ、１９パーセント増加しているということだ。
　イスラエルの最も大きな慈善団体であるＬＡＴＥＴから、毎月援助を受ける家庭は５万家庭にも上り、そのなかには食料パックを受けたものも含まれるということだ。それ以外には、学校教育費の援助や、医療援助を受けた家庭も多ということだ。
　２００６年には約１６５万人の貧困者がイスラエルにはいたが（子供７６６０００人を含む）、イスラエルの総人口が約７００万人であることから考えると、決して少ない割り合いではないようだ。
　なぜこのような貧困層の増加が、イスラエル国内で目立つようになったのかについては、種々意見があろうが、ひとつはアラブ側との戦争状態が、長期間続いていることにあろう。なかでも、パレスチナとの関係が改善されないことが、大きな経済的負担となっているのではないか。
　いまやオイル・ダラーが世界の金融を左右するなかで、イスラエルは完全に蚊帳の外に置かれているのだ。パレスチナとの緊張状態の継続は、イスラエルへの観光客や巡礼者の入国を制限してもいる。

　つまるところ、平和な状態は、最大の繁栄材料なのかもしれない。