M・アッバースがハマースの慈善活動阻止

2007年12月 6日

 マハムード・アッバース議長がハマース参加の、慈善委員会92組織の活動を禁止する決定を下した。これらの組織は、イスラム教の祝祭日などに寄付金を集め、貧困家庭に支援を送っていた。

 イスラム教の大祭のひとつイード・ル・アドハー(犠牲祭)が近づく中での、今回のマハムード・アッバース議長の決定は、少なからぬ不満をパレスチナ大衆の中に呼び起こすものと思われる。

 もちろん、マハムード・アッバース議長の率いるパレスチナ政府はハマース系の92組織の活動を禁止する一方で、11の新たな組織をつくり、同様の活動をさせることにしている。

 マハムード・アッバース議長の今回の決定はイスラエルとの和平を進める上でハマースのパレスチナ大衆への影響力を押さえ込むためのものであり、ハマースがパレスチナ大衆から支持を拡大してきたのはハマースの慈善活動によるという判断からであろう。

 今回のマハムード・アッバース議長の決定は、ハマースに対する大衆の支持を減らす可能性よりも、パレスチナ大衆のマハムード・アッバース議長率いる、パレスチナ政府に対する反発として表れてくるのではないか。

 ハマースにはこれまでの長い慈善活動から培ったノウハウがあるが、パレスチナ政府にはそれが足りないからだ。しかも、募金を集める中心となる各地域の宗教指導者や政治指導者との、信頼関係にも問題があるからだ。 

 今回のマハムード・アッバース議長の決定に対し、ハマースのスポークス・マンであるサーミー・アブー・ズフル氏は、西岸地区で飢える者を生み出すだけだと批判している。