アハマド・ネジャドが核問題で妥協か

2007年11月30日

 核燃料の濃縮問題で、イランとアメリカの緊張状態が続いているが、ここに来て明るい兆しが見え隠れし始めた。
イランのアハマド・ネジャド大統領が、ある種の妥協をする可能性が出てきたからだ。それは、イラン国内での濃縮による核燃料の生産を、ヨーロッパに委ねるという考え方が出てきたためだ。

 これまでアメリカはイランがウランの濃縮をイラン国内でするのではなく、ロシアに委ねることによる妥協点を示していたのだが、イラン側はこれを拒否していた。しかし、アラブ諸国はイランもアラブ諸国と同様に、外国にウランの濃縮を委ねることによって、アメリカの圧力を受けずに進めるべきだと説得してきていた。

 イランのウランの濃縮問題については、IAEAのエルバラダイ代表がイラン側の立場に理解を示しながら、何とか武力衝突を避けようと努力し、公平な立ち場を保ってきていた。そのエルバラダイ代表の立場は、イスラエルを激怒させてもきた。イスラエルはエルバラダイ代表の立場がイランよりであるとし、彼の更迭さえ要求していた。

 エルバラダイ代表の出身国であるエジプトは、何とか彼の公平な立場からの努力を成果あるものにしようとして、これまでイランのアハマド・ネジャド大統領の説得に当たっていたが、その努力がイランの政府に影響を及ぼし始めているのかもしれない。

 イラン政府は11月22日に、首都テヘランで核問題をめぐる国際会議を開催するが、その会議には、エジプトからムハンマド・シャーケル元大使(エジプト外交評議会初代会長)が参加する予定だ。同大使はエジプト外務省OBのなかでも、最も実力ある人物として知られている。

 彼との昼食のなかで彼が私に語ったところでは、アハマド・ネジャド大統領がスイスでのウランの濃縮を受け入れる可能性が高くなってきた。それを説得するつもりで会議に参加するのだということだ。私もその会議に招待されたのだが、時間的制約から出席できないと語ったところ、非常に残念がられ出席を促された。同席したアブドルモナイム・リーズイ元駐米大使も、何とか平和的な解決を図りたいと語っていた。
 
当初このテヘランでの会議は、アメリカに追い詰められた、イランによる反米のプロパガンダだけの会議と思っていたが、意外な結果が出てくる可能性がありそうだ。