トルコがイスラエル・パレスチナの調整役

2007年11月14日

 イスラエルのペレス大統領が、トルコの首都アンカラを訪問している。彼のトルコ滞在は異例とも言える、3日間の長きに及ぶと報じられた。なぜだろうと思っていたところ、そのわけが分かった。

 パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長も月曜日遅く、アンカラに到着するというのだ。ペレス大統領もマハムード・アッバース議長も、ギュル大統領やエルドアン首相と会談するが、今回の二人のトルコ訪問の、本当の目的は違うところにあるようだ。

 トルコはイスラエルやパレスチナとの間で、2005年にパレスチナの産業開発の話し合いを行っている。つまりトルコの企業がパレスチナに進出して、産業育成をすれば、パレスチナ人失業者が減り、結果的にパレスチナ社会は安定し、和平の話がスムーズに進むようになる、というものだった。

 今回のペレス大統領とマハムード・アッバース議長のトルコ訪問は、アメリカのアナポリスで開催される予定の、中東和平会議に先立ち、具体的な部分を詰めておきたい、ということからであろう。

 現在の段階から、アナポリスの和平会議は何の成果も生まないだろう、と言われているなかで、トルコがイスラエル、パレスチナ、アメリカによる和平会議に加わることによって、「地域開発」「地域協力」という新しいカードを、切るということであろう。

 シリアとイスラエルとの緊張緩和のための、トルコの両国関係改善の仲介は、いまのところ成功裏に進んでいるようだ。少なくとも、シリア・イスラエル間に戦争は始まっていない。

 イスラエルとパレスチナの間でも、そうあって欲しいものだ。イスラエル・パレスチナの和平交渉で足りないものは、相互の信頼感と実質的利益であろうが、それをトルコが満たす可能性はある。

少なくとも、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長には、アメリカやイスラエルに対して言えないことも、エルドアン首相やギュル大統領には言えるということだ。

それは、マハムード・アッバース議長にしてみれば心強いこと限りなかろう。