ユダヤ人は移住希望、パレスチナ人は国籍取得希望のイスラエル

2007年11月 8日

 イスラエルのユダヤ人インテリたちは、外国へ移住することを希望している。なかでも、アメリカへの移住を希望する人たちが多いようだ。

 それは、イスラエルに比べて研究環境がいいことと、研究設備やサラリーが多いことに起因している。

 こうした傾向は、イスラエルだけではなく、ヨーロッパ諸国でも言えることだというが、ヨーロッパの場合に比べある調査では、17倍もイスラエルのユダヤ人の移住希望の割合が多いということだ。

 しかも、アメリカへの移住を希望する科学者が、最近では増加傾向にあるということだ。そうなると、残されるイスラエルのインテリの数は、激減していくということであろうか。

 他方、東エルサレムに居住するパレスチナ人の間では、イスラエル国籍取得を望む者が、激増しているということだ。彼らには、これまでイスラエル国内での永久居住権が与えられ、イスラエル国内の移動も、西岸のパレスチナ人とは異なり、完全な自由が与えられていた。

 東エルサレムのパレスチナ人が、イスラエル国籍取得を希望する数は、これまでは数十人程度だったものが、ここ数ヶ月の間に、何百人単位の申請がなされているということだ。

 東エルサレムのパレスチナ人が、イスラエル国籍取得を希望するのは、健康保険や各種の福祉手当が目的のようだ。

 しかし、イスラエル国民がイスラエルを去ることを希望し、パレスチナ人がイスラエル国籍を取得することを希望しているという傾向は、何処か不自然なものを感じるのだがいかがなものか。 

 イスラエルのユダヤ人で、知的レベルの高い者たちは、イスラエルに居住することにこだわらず、よりよい条件の国を探すということであり、彼らは外国に移住して、容易に高級を得ることのできる、職業に就くことができるのだろう。

 しかし、もしこうした傾向が続いていけば、イスラエルの国内にはインテリの数が激減していくことになり、パレスチナ人との知的戦いが不利になり、武力闘争でも不利な状態が、生まれてくるのではないか。

 中東最強の国家イスラエルには、いま内部から不安定な状況が生まれてきているということであろう。「敵は常に自己の内部にある」という教えに、イスラエルも沿っているのであろうか。