ミシュアルがアナポリス会議に噛み付

2007年11月 7日

 ハマースのリーダーでシリアに亡命している、ハーリド・ミシュアルがアメリカの開催しようとしている、アナポリスの中東和平会議を罠だと非難した。

 彼によれば、現在、ライス国務長官がイスラエルとパレスチナを往復し、アラブ諸国をめぐって開催しようとしている、アメリカのアナポリス中東和平会議は、イラン戦争をカムフラージュするためのものだということだ。

 ハーリド・ミシュアルはパレスチナのマハムード・アッバース議長に対し、「アナポリス会議はアメリカがイラン攻撃をごまかすためのものであり、パレスチナ問題を真剣に話し合うためのものではない、したがって出席すべきではない。」と語っている。

 彼はマハムード・アッバース議長に対し、パレスチナの難民帰還の権利を売り渡すことも、パレスチナの土地を一インチたりとも譲歩する権限も無いとも語った。加えて、アラブ諸国に対しても、「アナポリスの会議には乗るな」と警告している。

 他方、マハムード・アッバース議長は、ライス国務長官がイスラエルのオルメルト首相から、和平実現に向けた提案を引き出したとし、アナポリス会議に希望が持てる、という明るい見通しを語っている。

 しかし、誰が考えても、現段階ではパレスチナが望むような、和平が成立するとは思えない。アナポリスの和平会議がライス国務長官にとって、最後の中東和平仲介のチャンスであり、ブッシュ大統領にとっても、大統領任期最後の大金星になりうる問題として、解決してみたいということであろう。

 それは、ライス国務長官自身もブッシュ大統領も、中東問題をほとんど知らないということを、表しているということだ。誰が考えても、エルサレムの分割をイスラエルが受け入れるとは思えないし、パレスチナ難民の帰還権をパレスチナが放棄するとも思えない。

加えて、西岸の入植地から、イスラエル人入植者が撤退するとも思えない。たとえそれが行われるとしてもごく一部であり、パレスチナの土地との交換であろう。それではパレスチナの権利は回復しないのだ。

 マハムード・アッバース議長は、アメリカの援助を当てにしているだけ、むげにブッシュ大統領の提案を拒否できず、色気のある素振りをしているのであろう。同様に、オルメルトも最大のスポンサー国である、アメリカの努力(?)を無視することは出来まい。

 そうした立場から、マハムード・アッバース議長とオルメルト首相は、アナポリス会議への期待を表明しているのであろうが、もし、そこでパレスチナ側にしろ、イスラエル側にしろ、アメリカの圧力で何らかの譲歩をすれば、双方の国民から大反撃を食らうことになろう。