何時の間にか悪者にされかねないトルコ

2007年11月 2日

 トルコとPKKとの緊張関係、そして小規模戦闘が続いているうちに、この問題の主軸が、ずれ始めてきているような気がしてならない。  今回トルコが、PKKのテロに困り果て、大規模な軍事行動を起こすことも、やぶさかではないと言い出したのは、あくまでも、PKKによるテロが発端だった。

 トルコは戦争をせずに、この問題を解決したいという立場から、できるだけ大規模戦闘を行う意思があることを印象付け、クルド自治政府、イラク政府、アメリカに問題解決への協力を求めた。  しかし、最近になってくると、クルド自治政府はトルコの軍事力を恐れ、誇大妄想に陥り始め、トルコの空軍はクルド地域の主要な場所を、空爆するのではないか??クルド地域を支配するのではないか、と考え始めている気配がある。 

 そうなると、主題はPKK問題ではなく、クルド国家が出来ることに、警戒感と危機感を募らせたトルコ政府が、クルド地域を支配するのが戦争の主目的であろう、ということになってくる。  トルコは、キルクークを含むクルド国家が出来れば、そのクルド国家は石油収入に物を言わせ、兵器を大量に購入し、トルコに立ち向かい、トルコの中のクルド人地域を、クルド国家に併呑しようとするだろう。

だから、トルコはいまのうちに、クルド側の計画を潰したいのだ。その口実が、PKK掃討作戦なのだ、とする意見がクルド側に無くもない。  PKKのテロに困って動き出したトルコが、結果的に悪者にされてしまう危険性があるということだ。問題の発端はあくまでも、PKKのテロに始まったことを、われわれは記憶し、トルの苦しい立場を理解してあげるべきであろう。