アラブで最もポピュラーな新聞のひとつに、アルハヤート紙がある。スポサーはサウジアラビアで、発行場所はロンドンということになっている。この新聞は時折、とんでもない情報を掲載してくれるので、われわれ中東ウオッチャーには、欠かせない情報源のひとつだ。 そのアルハヤート紙が、中東問題のトップはパレスチナ問題だとしながらも、これに続く3つの問題が非常に厄介だと指摘している。
その3つの問題とは以下のようなものだ。
:シーア派の政治的台頭
:クルド問題の台頭
:近代化の問題
これらの問題は、実は相互に互換関係にあるということだ。シーア派の政治的台頭は、クルド問題にも関連しているし、クルドの問題は中東世界の政治的近代化とも関連している。 こうした問題が解決していくためには、同時進行で問題の処理を考えなければなるまい。そうであるとすれば、現在進められているような、既存の枠内での問題解決の検討では、埒があかないのかもしれない。
たとえば、イラクのクルド問題を解決するためには、トルコとの連邦といったことも考えなければなるまい。クルド民族がイラクから分離して独立するということは、物理的に非常に困難を伴うことであり、地域の各国やイラクのスンニー派、シーア派によって認められるとは思えない。 しかし、クルドとトルコが連邦国家になるとすれば、不可能ではなくなるだろう。その場合には、イランの一部を占めているクルドも、この連邦の中に含まれる可能性があろう。この連邦国家はクルド地域の石油と、トルコの政治力や軍事力、工業力、経済力が一体化することを意味している。したがって、相当強固な国家に、成長する可能性を持っている。
そして、クルド地域を連邦の中に入れると共に、湾岸諸国とのあいだにも、何らかの連邦関係を作り上げていくという考えだ。それはヨーロッパのEUなどに似通った、緩やかな連帯ということであり、まるで不可能ということでもあるまい。 簡単に説明するとこういう内容なのだが、何故この時期にトルコとクルド、そして湾岸諸国が緩やかな連邦を形成していくという、夢のような構想が浮かんでくるのであろうか。
それは中東地域の将来を考えたとき、イスラエルには大イスラエル構想があり、その構想はエジプトのナイル川からイラクのユーフラテス川までを併呑する大イスラエル国家を建設するというものだ。 またイランの地域での覇権の夢想も、中東地域なかでも湾岸諸国にとっては、不安な材料であろう。アメリカが少しでも、この地域から後退するようなことになれば、イランは当然のこととして、湾岸諸国に対する圧力を強化し始めてこよう。
イランの考えでは、ペルシャ湾に浮かぶ島は、基本的に全部イランの領土だということのようだ。したがって、バハレーンは当然イラン領となり、イランが70年代以来占領支配を続けている、アラブ首長国連邦が自国領土だと主張し続けている、大小トンブ島やアブームーサ島は、イランの固有の領土ということになる。 中東地域に横たわる幾つもの難問は、パレスチナ問題をはじめ、50年60年の永きに渡って、何ら解決しないままになっている。それどころか、最近になって問題は緊張を高め、危険度を増してきている。
そうした不安の中から、トルコに対する期待感が、湾岸諸国にもクルド民族にも高まってきているのではないか。トルコはつい最近、エルドアン首相の率いる開発公正党(AKP)が、大統領職と首相職、国会議長職を独占し、強力な国家体制を構築するに至っている。 現段階では夢のような、トルコを中心とした中東地域の再編成が、近い将来起こる可能性がでてきているのではないか。
その3つの問題とは以下のようなものだ。
:シーア派の政治的台頭
:クルド問題の台頭
:近代化の問題
これらの問題は、実は相互に互換関係にあるということだ。シーア派の政治的台頭は、クルド問題にも関連しているし、クルドの問題は中東世界の政治的近代化とも関連している。 こうした問題が解決していくためには、同時進行で問題の処理を考えなければなるまい。そうであるとすれば、現在進められているような、既存の枠内での問題解決の検討では、埒があかないのかもしれない。
たとえば、イラクのクルド問題を解決するためには、トルコとの連邦といったことも考えなければなるまい。クルド民族がイラクから分離して独立するということは、物理的に非常に困難を伴うことであり、地域の各国やイラクのスンニー派、シーア派によって認められるとは思えない。 しかし、クルドとトルコが連邦国家になるとすれば、不可能ではなくなるだろう。その場合には、イランの一部を占めているクルドも、この連邦の中に含まれる可能性があろう。この連邦国家はクルド地域の石油と、トルコの政治力や軍事力、工業力、経済力が一体化することを意味している。したがって、相当強固な国家に、成長する可能性を持っている。
そして、クルド地域を連邦の中に入れると共に、湾岸諸国とのあいだにも、何らかの連邦関係を作り上げていくという考えだ。それはヨーロッパのEUなどに似通った、緩やかな連帯ということであり、まるで不可能ということでもあるまい。 簡単に説明するとこういう内容なのだが、何故この時期にトルコとクルド、そして湾岸諸国が緩やかな連邦を形成していくという、夢のような構想が浮かんでくるのであろうか。
それは中東地域の将来を考えたとき、イスラエルには大イスラエル構想があり、その構想はエジプトのナイル川からイラクのユーフラテス川までを併呑する大イスラエル国家を建設するというものだ。 またイランの地域での覇権の夢想も、中東地域なかでも湾岸諸国にとっては、不安な材料であろう。アメリカが少しでも、この地域から後退するようなことになれば、イランは当然のこととして、湾岸諸国に対する圧力を強化し始めてこよう。
イランの考えでは、ペルシャ湾に浮かぶ島は、基本的に全部イランの領土だということのようだ。したがって、バハレーンは当然イラン領となり、イランが70年代以来占領支配を続けている、アラブ首長国連邦が自国領土だと主張し続けている、大小トンブ島やアブームーサ島は、イランの固有の領土ということになる。 中東地域に横たわる幾つもの難問は、パレスチナ問題をはじめ、50年60年の永きに渡って、何ら解決しないままになっている。それどころか、最近になって問題は緊張を高め、危険度を増してきている。
そうした不安の中から、トルコに対する期待感が、湾岸諸国にもクルド民族にも高まってきているのではないか。トルコはつい最近、エルドアン首相の率いる開発公正党(AKP)が、大統領職と首相職、国会議長職を独占し、強力な国家体制を構築するに至っている。 現段階では夢のような、トルコを中心とした中東地域の再編成が、近い将来起こる可能性がでてきているのではないか。