再度燃え始めた米のイラン攻撃説

2007年10月31日

 イランの革命防衛隊の幹部が、アメリカの攻撃に対して、特攻で反撃すると警告を発した。その攻撃範囲はペルシャ湾内と、ホルムズ海峡ということだ。  イランの革命防衛隊が何故このような危険な警告を、この時期に発したのかというと、実はアメリカの側にその原因があるようだ。

 IAEAのムハンマド・エルバラダイ委員長は、イランが核兵器を開発している証拠は無いとし、開発したとしても数年間かかるという見通しを述べたところ、フランスの外相やアメリカ政府の高官が反発した。  アメリカ政府はイランに対する制裁を強化すると発表したが、その後のゾグビー・インターナショナル社の世論調査では、アメリカ国民の52パーセントがイラン攻撃に賛成だということだ。

 実はイランの革命防衛隊が、特攻攻撃を宣言したのは、このタイミングと同じ頃のようであることを考えると、アメリカの世論調査の結果を受けての、反応であると思われる。  これまでも、アメリカによるイラン攻撃は、ブッシュ大統領の任期中に行われる、という予測が何度と無く出てきたが、今回も空振りに終わることを望む。

 現在のアメリカは、農産品と兵器以外にこれといった輸出商品がなくなってきているが、だからといって戦争を起こしていたのでは、アメリカ自身が限界に達するものと思われる。  しかし、残念ながらアメリカの政治家の多くは、イラン攻撃がほとんど確実だと考えているということだ。それは共和党に議員だけではなく民主党の議員のなかにもいるようだ。

 戦争では犠牲と破壊が同時進行で進むということを、アメリカ国民と政治家たちは忘れているのだろうか。そして、それはモノだけではなく、人間にも当てはまるということを、アメリカでは誰も考えないのだろうか。破壊の後の人道援助よりも、破壊を止める人道援助が優先すると思うのだが。