中東の新たな動きは吉兆か?

2007年10月28日

 中東地域で最近、これまではあまり見られなかった現象が、起こり始めているようだ。それは中東地域各国間で、相互の仲介が進んでいるということだ。

 たとえば、トルコがイスラエルとシリアの、緊張緩和の仲介をしていることは、誰もが知るところとなったが、これまでは考えられないことだった。
アラブ諸国はイギリスによる、オスマン帝国分断作戦の残滓で、いまだにトルコを受け入れない、という状況があったのだ。

 トルコとシリアとの関係も、いまでこそ友好的だが、つい数年前までは、国境地帯は地雷が埋設され、双方が軍事侵攻を懸念していたのだ。トルコとイラクが軍事的に緊張状態にあることから、ここに来て今度は、シリアがトルコとイラクの仲介に動き出しているのだ。

 イスラエルがアメリカのアルメニア虐殺問題で、トルコの立場を配慮して、アメリカに対しブレーキをかける動きに出ているのも、ある種の仲介工作であろう。

 こうしてみると、中東諸国はいま、アメリカやヨーロッパの仲介や調停による、地域の問題解決ではなくではなく、独自による問題解決に向かって、動き出しているのではないか。

 世界は多極化に向かっている、と最近よく言われているが、中東地域では地域内相互協力が、無意識のうちに動き出しているのかもしれない。そうであるとすれば、この流れを助長するように、地域各国は相互の仲介努力を、自然なかたちで受け入れていくべきであろう。

 そのことによって、地域は完全に大国の介入なしに、問題の解決が出来る状況が生まれてくるかもしれない。またそうした動きが効果を出していけば、相互の信頼関係と友好関係も、強化されていくことになろう。それが本来の地域内関係の、あるべき姿であろうと思われる。