エジプト・パレスチナ気になる二つの情報

2007年10月16日

 気になる二つの短い情報がある。ひとつはエジプトに関するもので、アメリカの戦争大学(ウオー・カレッジ)が発表した研究結果だ。ウオー・カレッジの研究結果によれば、ムバーラク体制がイスラーム原理主義者を増大させているというものだ。

 ムバーラク体制は富の分配を行わないなかで、大衆を力で抑え込んだために、大衆の中にイスラーム原理主義者が増加したというのだ。しかも、それはエジプトにとどまらず、その他のアラブ・イスラーム世界にも拡大した、というものだ。

 したがって、その研究結果が示すものは、今後、アメリカのエジプトに対する対応に、変化が生まれることを予測させる。つまり、今後アメリカは、ムバーラク体制を見放す可能性があるということだ。  このことについて、エジプトの高官の考えは、アメリカのブッシュ大統領が中東地域で民主化を進めていく上で、エジプトをその最前列に置いたのであって、特にエジプトに対する対応だけを、変えようとしているのではない、ということだ。

 もうひとつの気になる情報は、11月にアメリカで開催される中東和平会議に向け、マハムード・アッバース議長はイスラエルに対し、イスラエル国家を正式に認めたが、その一方で、イスラエルはイスラエルがユダヤ人だけの民族国家だとしたということだ。  つまり、このことは、現在周辺諸国に難民として居住しているパレスチナ人には、父祖の地に帰る権利が無くなるということだ。果たして、この情報が正しいのか、正しいと考えた場合に、マハムード・アッバース議長はパレスチナ難民の帰還権が否定されたことに、気が付いているのだろうかということだ。

 この情報は、マハムード・アッバース議長に反対する、ファタハの中の第二グループが伝えたものだということだ。もし、この情報が正しいとすれば、マハムード・アッバース議長は完全にパレスチナ難民の帰還の権利を、イスラエルとアメリカに売り渡したということであろう。  そのことが事実か否かは、11月に開催される中東和平会議の結果を、細かく分析して見れば明らかになろう。