アメリカの上院がアルメニア人虐殺事件を可決したことで、トルコはアメリカに対し激怒している。実はこの事件の裏には、幾つもの公表されていない事実があるからだ。
トルコはPKKによるトルコ側軍民への攻撃にも怒り、我慢の限界に達している。これ以上放置できないというのが、トルコ国民の正直な気持ちであろう。
しかし、だからといってトルコが近い将来、アメリカとの外交関係を断絶し、PKKの掃討のために、本格的な軍事侵攻をイラク北部に対して行う、とは考えないほうがいいだろう。
確かにトルコ政府は、アメリカに対し怒りをあらわにし、トズメン貿易促進大臣の訪米を中止したし、駐米トルコ大使を召還してもいる。
前にも書いたように、トルコにはアメリカに対して切る、カードは何枚もある。イラク駐留アメリカ軍への物資の輸送には、トルコの港とインジルリク空軍基地が使われているが、これがトルコによって拒否された場合、アメリカ軍はクウエイトかブルガリア、ルーマニアといった国々を物資と人員輸送の拠点とせざるを得まい。
しかし、それにはそれなりの準備に時間がかかろう。クウエイトの場合は国土が狭いことから、港の荷揚げ能力にも限界があるし、クウエイトからバグダッドまで、物資を輸送するには大変な危険と、それに伴うコストを覚悟しなければならなくなるだろう。
東ヨーロッパのいずれかの国を、物資輸送の拠点とする場合には、空港しか使えないことから、海上輸送は部分的にしか出来ないということになる。したがって、トルコの港と空港が使えるメリットは、限りなく大きいということになる。
アメリカ軍兵士の交代も、トルコの空軍基地が使える場合には、容易に多数が移動することが出来るが、クウエイトの空港の場合は、そこまでたどり着くのがひと仕事であろう。もちろん、バグダッドの空港からクウエイトの空港へ空の移動になるのだが、それには限界があるということだ。
トルコがアメリカに対し怒りを募らせているのは、アルメニア問題に加え、アメリカがPKKに対する対応で、協力的でないことにある。しかも、アメリカ製武器が、PKK側に何らかのルートを通じて渡っているのだ。
トルコはここでアメリカに対し、強い圧力をかけることによって、アメリカ側から妥協を引き出そうということであろう。もし、それでもアメリカが妥協しなければ、トルコは他を配慮しない行動に出ることも出来よう。
トルコはいま相当強気になっている。それはブッシュ政権がレイム・ダックの極みに達しているからであろう。トルコの対応は決して感情的なものだけではない、したたかな計算も裏にはあることを忘れるべきではあるまい。
トルコはPKKによるトルコ側軍民への攻撃にも怒り、我慢の限界に達している。これ以上放置できないというのが、トルコ国民の正直な気持ちであろう。
しかし、だからといってトルコが近い将来、アメリカとの外交関係を断絶し、PKKの掃討のために、本格的な軍事侵攻をイラク北部に対して行う、とは考えないほうがいいだろう。
確かにトルコ政府は、アメリカに対し怒りをあらわにし、トズメン貿易促進大臣の訪米を中止したし、駐米トルコ大使を召還してもいる。
前にも書いたように、トルコにはアメリカに対して切る、カードは何枚もある。イラク駐留アメリカ軍への物資の輸送には、トルコの港とインジルリク空軍基地が使われているが、これがトルコによって拒否された場合、アメリカ軍はクウエイトかブルガリア、ルーマニアといった国々を物資と人員輸送の拠点とせざるを得まい。
しかし、それにはそれなりの準備に時間がかかろう。クウエイトの場合は国土が狭いことから、港の荷揚げ能力にも限界があるし、クウエイトからバグダッドまで、物資を輸送するには大変な危険と、それに伴うコストを覚悟しなければならなくなるだろう。
東ヨーロッパのいずれかの国を、物資輸送の拠点とする場合には、空港しか使えないことから、海上輸送は部分的にしか出来ないということになる。したがって、トルコの港と空港が使えるメリットは、限りなく大きいということになる。
アメリカ軍兵士の交代も、トルコの空軍基地が使える場合には、容易に多数が移動することが出来るが、クウエイトの空港の場合は、そこまでたどり着くのがひと仕事であろう。もちろん、バグダッドの空港からクウエイトの空港へ空の移動になるのだが、それには限界があるということだ。
トルコがアメリカに対し怒りを募らせているのは、アルメニア問題に加え、アメリカがPKKに対する対応で、協力的でないことにある。しかも、アメリカ製武器が、PKK側に何らかのルートを通じて渡っているのだ。
トルコはここでアメリカに対し、強い圧力をかけることによって、アメリカ側から妥協を引き出そうということであろう。もし、それでもアメリカが妥協しなければ、トルコは他を配慮しない行動に出ることも出来よう。
トルコはいま相当強気になっている。それはブッシュ政権がレイム・ダックの極みに達しているからであろう。トルコの対応は決して感情的なものだけではない、したたかな計算も裏にはあることを忘れるべきではあるまい。