コレラ禍がイラク全土に拡大

2007年9月24日

 しばらく前に既にお伝えしたが、イラクの北部でコレラが発生している。それはいまだに、沈静化していないようだ。既に何人かの犠牲者が出ているが、その後コレラはバグダッドで発生し、ついにはイラク南部の都市バスラでも発生した。

 イラク保健省の役人は、何とかコレラの拡大を防いでいると語っているが、それは真実ではあるまい。イラク国民がパニック状態に陥ることを防ぐために、そう言っているのではないかと思われる。

 既に報じたように、コレラの発生に対し、イラクには十分な医薬品があるわけでもなければ、イラク国民に清浄な飲料水が、支給されているわけでもない。イラク国民は飲料水が手に入らないために、汚れた川の水を飲んでいるような現状では、コレラはどこまでも拡大する危険性があろう。

 電力は一日にほんの数時間しか、首都のバグダッドでさえ供給されない。薬品が足りない、医者や看護士の数が足りない、イラク国民の間には衛生知識が乏しい、という足りないずくめの中では、コレラを防ごうにも、防ぎようがあるまい。

 こうした状況は、反政府側にとっては好都合であろう、政府非難がやりやすくなるからだ。また政府側にとっても、好都合であろう。反政府組織が、コレラ菌をばら撒く危険性を警告できるからだ。

 問題はイラク国民だが、彼らは政府の都合や、反政府組織の都合に関係なく、犠牲になっていく。

 ヨルダン政府は、自国へのイラク難民の流入阻止を行うだろうし、シリアもイラク人の入国には現在よりも、もっと厳しい条件をつけることになろう。もちろん、両国は国境地帯でコレラの流入を阻止するために、あらゆる手段を講ずることになろう。それは、あたかもアメリカ映画のような状況であろう。

 コレラは誰かが持ち込んだのか、あるいは自然発生的に出てきたのか、そのいずれであるにせよ、非難よりも対応が急がれよう。