ガザのファタハ兵士は辞任宣言

2007年9月23日

 夏の始めに起こったファタハとハマースの戦いで、ファタハ側が破れ、ほとんどのファタハ幹部が西岸に逃れたが、多くのファタハの兵士は、いまだにガザに残留している。  彼らには数ヶ月に渡って、給料が未払いとなっている。しかも、ハマース側からは、敵であるファタハの兵士に対する、厳しい監視と締め付けがある。こうしたなかで、ガザのファタハ兵士の幹部が、10人単位で辞任を宣言した。

 これを受けたマハムード・アッバース議長は「辞めたければ勝手にやめろ」と冷たい返答をした。

 ガザでは連日のように、イスラエル軍の攻撃でパレスチナ人が殺されているが、西岸でも同様のことが起こっている。しかし、イスラエルとの関係を重視するマハムード・アッバース議長は、イスラエルとの関係を損ないたくないことから、しかるべき最低限の対応も行っていない。

 表面的には、アメリカが呼びかける和平会議に向けて、パレスチナの最終的地位がどうなるのかが示されない会議には、出席する意思が無いと言っているが、いずれアメリカに資金援助をちらつかされて、マハムード・アッバース議長は会議に出席することになろう。  マハムード・アッバース議長はニコニコさえしていれば、アメリカとそれに盲目的に追従する日本、そしてヨーロッパから援助を受け取れ、自分と仲間の快適な生活は保証されるのだ。

 しかし、欧米のマスコミがどうハマースを酷評しようとも、パレスチナ人のほとんどと、アラブ人の多くは、ハマースのほうが清廉潔白だと受け止めているのだ。それはファタハ幹部と、彼らの子弟の生活ぶりを見ていれ、誰も疑う余地があるまい。彼らは湾岸産油国の王侯並の、豪奢な生活を享受しているのだから。  こうした実情に業を煮やした、イスラエルの獄中にあるマルワーン・バルグーテイは、次回のパレスチナ選挙に、マハムード・アッバースの対抗馬として、獄中からでも立候補すると語り始めている。

 腐敗が現実に存在し、誰の目にもそれが明らかななかで、日本がその腐敗の元凶に援助を送ることは、アメリカの言いなりにしか行動を取れない、頭脳の無い日本外交、と受け止められよう。そのことが日本・アラブの将来に、どう影響するのか「考える必要が無い」というのだろうか。