バーンズがトルコにイラン関係断絶要求

2007年9月20日

 ニコラス・バーンズ氏がトルコの首都アンカラを訪問しているが、そのなかで彼はトルコに対し、イランとの経済関係を断てと要求した。述べるまでも無く、この夏にイランとトルコとの間で交わされた、エネルギー輸送と開発協力合意を、反故にしろということだ。

トルコはイランとのあいだで、トルクメニスタンのガスを、イラン経由でトルコまで運ぶ、パイプ・ラインの建設に合意した。この結果、トルクメニスタンのガスは、ロシア経由以外の輸出ルートを、確保することになった。

これはこれまで、トルコと良好な関係にあった、トルクメニスタンのガスを、地中海経由で輸入できるということであり、トルコにとっては好都合な話だった。他方、イランにとっては、必ずしも大賛成というものではなかったろう。しかし、トルコが交換条件に、イランを国際的な孤立から救うことに、繋がるのではないかと思われる。

トルクメニスタンのガスは、ロシアを経由し高い価格で、西ヨーロッパの消費地に届けられていたからだ。しかも、そのために西ヨーロッパは、エネルギーの生殺与奪の権利を、ロシアに握られていたということだ。

このイランとトルコとの合意によって、西ヨーロッパはロシアのくびきから、解放されることになるのだ。加えて、トルコはイランのサウス・パルスのガスを開発することも、イランとの間で合意していた。

アメリカはイランを経済封鎖し、弱体化させた上で、軍事力を行使したい。あるいは、イランを弱体化させ、イラン国民の反政府の動きを活発化させたい、と考えているのであろう。

今後、アメリカはトルコに圧力をかけ続けるだろうが、それに対して、エルドアン政権は、どこまで抵抗するだろうか?またどのような対抗措置を考えるだろうか?実に興味深い戦いといえそうだ。

この戦いのなかで、エルドアン首相が田中角栄元総理の、二の舞にならないことを祈りたい。