アルジャズイーラ編集責任者との会食と中東の今後

2007年9月15日

 9月の半ばに、今では世界的に有名になっている、カタールの衛星テレビ「アルジャズイーラ」の編集責任者と昼食を共にした。述べるまでもなく、昼食は従であり、情報交換が主だった。  そのなかで、彼は幾つかの興味深い発言をした。その中でも、一番重要と思われるものは、イランとアメリカとの軍事衝突の話題だった。彼は結果的にはアメリカが、イランを軍事攻撃すると断言した。


 しかし、それはアメリカが決定して行うというよりは、イスラエルのイランに対する軍事攻撃(多分空爆と思われるし、それ以外に手段はあるまい)によって、アメリカはイランとの戦争に巻き込まれるというものだった。  シリアに対する最近のイスラエル軍による挑発的な領空侵犯や空爆(?)は、その前兆なのかもしれない。シリアに対してこうした挑発をイスラエルが継続すれば、イランはレバノンのヘズブラに対して、何らかの軍事行動をさせるかもしれない。

 結果的には、イランがイスラエルに対して軍事攻撃をかける、口実を与えることになり、イスラエルは「自国の安全はイランによって脅かされている」とし、イランに対する空爆を行うということだ。  こうしてアメリカは、イランとイスラエルとの戦争に巻き込まれ、イラン攻撃を断行するということであろう。その際、イスラエルはシリアに対してどのような行動をとるか、ということについては、「シリアが動かなければ安全であろう」と彼は語っていた。

つまり、シリアが賢明な行動を取れば、シリアは戦争に巻き込まれずにすむというものだ。しかし、シリアにはそれだけ冷静な判断が出来るだろうか。あるいはシリアは、イランとロシアという最も友好的な国々の影響を受けずに、戦争域の外に居続けることが出来るだろうか。 少なくとも今までのところ、シリアは冷静でありイスラエルの空爆についても、冷静に対応しているし、平和的に事態の沈静化を計りたいとし、トルコに対してイスラエルとの緊張緩和の仲介を依頼している。

こうしたなかでイスラエルのシリアに対する攻撃にはトルコの軍が関与していた、トルコが情報を提供していたといった情報が、クウエイトのアルジャデーダ紙によってもたらされたが、それはエルドアン首相の意向ではあるまい。トルコの軍の一部が先走った可能性があろう。トルコ軍の中にはエルドアン首相と彼に率いられる与党AKPに、現在トルコの政治は完全に押し切られ牛耳られてる、という焦燥感があるからだ。