最近になって、イスラエルがロシアに対し、不満を述べ始めている。それは、ロシアがイスラエルの敵対国であるシリアに対し、最新兵器を供与しているからだ。

　以前にも書いたように、イスラエルは昨年のヘズブラとの戦争における敗北の後遺症から、もし、シリアがヘズブラと同じような、ゲリラ戦を展開してくれば対応できなくなり、敗北する危険性がると考え始めている。

　このため、イスラエル軍内部では、ミサイルや戦闘爆撃機の補充に加え、地上戦闘用兵器の充実にも力を入れるようになってきている。戦車はもとより、装甲車、各種の砲などだが、それでも不安は消えない。

　ゲリラ戦法でシリアが使用してくる可能性のある武器、兵器には、イスラエルが把握していないものもある可能性が高いからであろう。イスラエルが知る限り、シリアはロシアからMIG－３１の供与も受けることになっており、これがシリアに配備されれば、イスラエルの航空戦闘能力、航空偵察能力は（相対的に）大幅に低下することになるということだ。

　加えて、地対空ミサイルも大量に供与され、イスラエル側が得意とする航空攻撃は、相当阻止されることになろう。しかも、現時点でシリアには、ロシアの軍事顧問が、１０００人も駐留しているということだ。

　また、最近になってロシアがシリアのタルトース港を、ロシア艦隊の常駐軍事基地を考えるようになってきており、既に使用が始まっている。そうなれば、イスラエルはシリアに対して、簡単には軍事行動を取れないということだ。

　イスラエルのこうしたシリアに対する不安は、今後ますます募っていくものと思われる。そうした状況が、戦争を望まないイスラエルとシリアの間に、戦争を引き起こす原因になりかねない。危険度は高まっている。