イラクでコレラ蔓延・トルコは援助を急げ

2007年8月31日

 イラクのクルド地区では、いまものすごい勢いで、コレラが広がり始めているようだ。BBCの伝えるところによれば、既に80人が罹病し、8人が死亡しているということだ。


 これらの罹病者以外にも、感染した疑いがあると思われる、4・250人の人たちを、クルド地区保健省のゼルバン・オスマン氏は、治療し始めていると語っている。

 コレラは、タミーム地区スレイマニヤ地区にも広がりつつあるようだ。また首都バグダッドでも、その傾向が見え始めているということだ。  問題は、イラク国民のほとんどが、きれいな飲料水を、入手できない状態にあることだ。このため、たちまちイラク全土がコレラに汚染される、危険性があろう、チグリス、ユーフラテスの両河川の水は、現在、飲料水としても使われているのだ。

 国連、NGOなどが支援に乗り出しているが、とてもそれだけでは間に合うまい。そうなると、結局のところ、周辺諸国の支援に頼らざるを得ない、ということになろう。 それは述べるまでもなく、サウジアラビア、クウエイト、イラン、トルコということになろう。しかし、手軽に飲料水をペット・ボトルに詰めて配布できる大型設備を持った国は、トルコだけではないのか。

 トルコは現在、クルドとは緊張関係にあるが、人道的立場から、クルド地区をはじめ、イラクの国民に対し、コレラ対策の支援をするべきであろう。そうすれば、トルコとクルドとの緊張は緩和するものと思われる。 言ってみれば、今回のクルド地区のコレラ騒ぎは、トルコにとって千載一遇のチャンスでもあろう。問題は、トルコがつい最近選出した新大統領のギュル氏と、エルドアン首相が、このクルド地区の直面する危機に、どう対応するかだ。ギュル新大統領に対する国際的な評価は、イラクのクルド地区をはじめとする、コレラ対応で、決まるともいえよう。そして、それを日本が支援することも重要であろう。援助は早ければ早いほど感謝されるものだ。