トルコ大統領選挙の行方

2007年8月27日

 トルコの大統領に誰を選ぶかをめぐって過去数ヶ月、熱い戦いが展開されてきた。  与党AKP(開発公正党)のギュル候補が、他を抜いて独走態勢にあったのだが、野党の反対があり、最初の議会での選出には成功しなかった。

 その後、議会での再選挙、憲法を変更しての国民による直接選挙など、大統領選出をめぐり、種々の考えが出されてきた。  与党内部や与党支持の知識人の間からは、エルドアン首相が強硬なイメージを持ち、指導力に優れているのだから、大統領は形式的な存在だとし、場合によっては女性の大統領を擁立する案も出ていた。

 しかし、実際にはすでにギュル氏の擁立から、時間が経過していたこともあり、彼に対する国民の支持もあることから、ギュル氏がセゼル大統領の後継大統領になることは確実であろう。  今週の火曜日に投票が行われる予定だが、保守系野党のMHPも、ギュル氏が大統領になることに、積極的な支援を送らないとしても、邪魔をするとは思われない。

 MHPのメンバーのなかには、ギュル氏に投票する者も出てきそうな勢いだ。したがって、ギュル氏が大統領に選出されると予想するのが、現時点では確率が高いといえよう。  そうなれば、現在の与党AKPから、大統領と首相が出ることになり、トルコの国家権力は与党に集中し、ますます力を発揮することになろう。同時にそれは、トルコ軍部の政治への影響力が、大幅に弱まるということでもあろう。そうなれば、トルコの経済は現在の右肩上がりを継続していくことが期待される。