ハマースが西岸に秘密武闘細胞組織結成?

2007年8月25日

 イスラエルのエルサレム・ポスト紙は、ハマースの武力闘争組織であるイッザッデーン・アル・カッサームが、ファタハのコントロールする西岸地区で、秘密の武力闘争細胞組織を結成し始めていると報じた。

 ガザがハマースの手に落ち、ファタハがガザから追放された後、ファタハは西岸でハマースの活動家狩りをし、200人以上を拘束し投獄したが、ほとんどはジャーナリスト、学生、ハマースの下級構成員などで、イッザッデーン・アル・カッサームの本格的な戦闘員ではなかったということだ。

 他方、西岸地区の治安最高責任者であるジブリール・ラジューブ氏が、シリアのダマスカスを訪問し、ハマースのリーダーである、ハーリド・ミシャアル氏と秘密の会合を持ち、ファタハとハマースの和解を討議した、という情報が流された。

 エルサレム・ポスト紙は、このジブリール・ラジューブ氏が、マハムード・アッバース議長の第一の後継者候補だとも報じている。つまり、部分的ではあれ、パレスチナ問題は、マハムード・アッバース議長の手から離れつつあるということだ。

 ハマースのイッザッデーン・アル・カッサーム組織は、現在、西岸地区でPFLP,イスラーム・ジハード、ファタハの一部戦闘員とも、共闘関係を構築しているということだ。

 もしこのエルサレム・ポスト紙の報道が正しいとすれば、近い将来、西岸地区でもファタハとハマースの武力衝突が起こりうる、ということだ。その場合は、明確な形でファタハが分裂し、一方はマハムード・アッバース議長がリードし、他方はジブリール・ラジューブ氏がリードする形になるかもしれない。

 こうした動きのなかでは、外国からの援助が再開されても、マハムード・アッバース議長やファタハ幹部の懐に入る分と、武器を購入する分に回され、パレスチナの一般大衆の困窮の助けにはなるまい。