拡大するトルコ・イラン協力

2007年8月25日

 トルコのエネルギー大臣ヒルミー・ギュレル氏が、イランの首都テヘランを訪問した。この訪問を機会に、トルコとイラン両国は、エネルギー面での一層の協力関係を構築する合意を交わした。

 両国がトルクメニスタンのガスを、イラン経由でトルコまで送る合意をしたのは7月のことだが、ここにきて、トルコとイランは水力発電を前提とした、ダムの建設に合意し、エネルギーの相互補完をすることになった。

 問題は、このトルコとイランのエネルギー面での協力拡大の動きに対し、アメリカがどう反応するかだ。述べるまでもなく、アメリカはイランに対し、経済制裁を強化していく方針にある。

 トルコはそのことに全く逆行する動きを、今回のイランとの合意で採ったことになる。トルコにしてみれば、自国の中長期にわたるエネルギー確保から考え、どうしても進めたかったのであろうし、イラン側はトルコの合意が、ヨーロッパ各国のアメリカ追従を、切り崩すきっかけになることを狙ったのであろう。

 他方、アメリカにとっては不都合そうな今回の合意だが、トルコとイランの関係が促進していけば、この地域の安定にもつながることであり、必ずしもアメリカにとっては、不都合なことばかりではあるまい。

 もうひとつ忘れてならないのは、イランのガスが(あるいはトルクメニスタンというかもしれないが)トルコに入るということは、イスラエルにも届けられるということだ。

 イランとイスラエルとの関係は、現段階では真正面から敵対しているが、トルコをフイルターにして、今後拡大していく可能性もあるということだ。金には国籍が記されていないというが、ガスにも国籍は記されていないのだから。