以前に報告したが、パレスチナの西岸地区にあるビル・ゼイト大学で、ファタハ支持の学生とハマース支持の学生が衝突し、ハマース支持派が勝利したということが起こっている。
最近になって、学生だけではなくファタハ、ハマース双方の武力組織が衝突を起こすのではないか、という予測がイスラエルの軍関係者から出ている。現実を見ると、それは多分に起こる可能性があろう。
ガザでの敗北で西岸に逃れたファタハ組織は、西岸における優位を確保するため、これまで種々の嫌がらせ、締め付け、逮捕、暴行、投獄をハマース系の住民に対して行ってきているからだ。したがって、ハマース支持派の人たちのファタハに対する反発は、日に日に高まってきているということであろう。
こうした西岸内部のファタハとハマースそれぞれの支持派の感情に加え、周辺のアラブ諸国がそれぞれの思惑から、ファタハあるいはハマースに対して働きかけ、対立色を濃くしていることも忘れるべきではあるまい。
周辺のアラブ諸国、なかでもエジプト、サウジアラビア、シリア、ヨルダンなどは、パレスチナ問題は自国の内政にも直結するだけに、非常に微妙な舵取りと、介入を試みているようだ。
自国内のイスラム原理主義者たちの動きが、危険レベルに達しないようにするためには、ガス抜きとしてハマースに支援の手を差し伸べないわけには行かないし、中東の政治状況や欧米との関係からすれば、ファタハを支援しなければならないという立場にもあるのだ。
こうしたことから、ハマースは資金的に枯渇に近いといわれながらも、いまだに生き残りガザの統治を続けている。それは、ハマースに対する資金援助をしている国がイランばかりではなく、アラブのなかにも複数あるということだ。
これら周辺アラブ諸国はファタハとハマースに対し、対話による対立の解消を働きかけているが、マハムード・アッバース議長はハマースとの対話を行いたくない、という立場を明確にしており、しかるべき成果が、近い将来生まれることは望めないだろう。
そうなれば、西岸住民の不満は頂点に達し、ファタハ・ハマース間の武力衝突がガザだけではなく、西岸でも起こるということだ。その結果は、ファタハが必ずしも有利ではないかもしれない。その場合でも、アメリカやイスラエル、ヨーロッパ諸国は、ファタハ支持の立場を堅持していくのであろうか。
パレスチナ問題の解決に向けて、ハマースを排除し、ファタハとの間にパレスチナ問題解決のための、交渉を進めて行きたい気持ちは分かるが、そのような形で、今後の西岸情勢が推移していく、とばかりは考えるべきではあるまい。
大衆の不満というエネルギーが爆発して、インテファーダなる新たなパレスチナ運動の形を生み出したと同様に、パレスチナ権力に対しても、同様の新たな動きが起こることは十分にありえよう。
現在のところ、日本のパレスチナ援助はファタハだけに限られているが、そのことは正しいとしても、今後の推移を考えた場合、ハマースと住民との関係も冷静に見ていく必要があるのではないか。
最近になって、学生だけではなくファタハ、ハマース双方の武力組織が衝突を起こすのではないか、という予測がイスラエルの軍関係者から出ている。現実を見ると、それは多分に起こる可能性があろう。
ガザでの敗北で西岸に逃れたファタハ組織は、西岸における優位を確保するため、これまで種々の嫌がらせ、締め付け、逮捕、暴行、投獄をハマース系の住民に対して行ってきているからだ。したがって、ハマース支持派の人たちのファタハに対する反発は、日に日に高まってきているということであろう。
こうした西岸内部のファタハとハマースそれぞれの支持派の感情に加え、周辺のアラブ諸国がそれぞれの思惑から、ファタハあるいはハマースに対して働きかけ、対立色を濃くしていることも忘れるべきではあるまい。
周辺のアラブ諸国、なかでもエジプト、サウジアラビア、シリア、ヨルダンなどは、パレスチナ問題は自国の内政にも直結するだけに、非常に微妙な舵取りと、介入を試みているようだ。
自国内のイスラム原理主義者たちの動きが、危険レベルに達しないようにするためには、ガス抜きとしてハマースに支援の手を差し伸べないわけには行かないし、中東の政治状況や欧米との関係からすれば、ファタハを支援しなければならないという立場にもあるのだ。
こうしたことから、ハマースは資金的に枯渇に近いといわれながらも、いまだに生き残りガザの統治を続けている。それは、ハマースに対する資金援助をしている国がイランばかりではなく、アラブのなかにも複数あるということだ。
これら周辺アラブ諸国はファタハとハマースに対し、対話による対立の解消を働きかけているが、マハムード・アッバース議長はハマースとの対話を行いたくない、という立場を明確にしており、しかるべき成果が、近い将来生まれることは望めないだろう。
そうなれば、西岸住民の不満は頂点に達し、ファタハ・ハマース間の武力衝突がガザだけではなく、西岸でも起こるということだ。その結果は、ファタハが必ずしも有利ではないかもしれない。その場合でも、アメリカやイスラエル、ヨーロッパ諸国は、ファタハ支持の立場を堅持していくのであろうか。
パレスチナ問題の解決に向けて、ハマースを排除し、ファタハとの間にパレスチナ問題解決のための、交渉を進めて行きたい気持ちは分かるが、そのような形で、今後の西岸情勢が推移していく、とばかりは考えるべきではあるまい。
大衆の不満というエネルギーが爆発して、インテファーダなる新たなパレスチナ運動の形を生み出したと同様に、パレスチナ権力に対しても、同様の新たな動きが起こることは十分にありえよう。
現在のところ、日本のパレスチナ援助はファタハだけに限られているが、そのことは正しいとしても、今後の推移を考えた場合、ハマースと住民との関係も冷静に見ていく必要があるのではないか。