ヨルダン軍を西岸派兵というオルメルト提案

2007年8月 4日

 イスラエルのオルメルト首相が、ヨルダンのベドウインで構成される特殊部隊を、パレスチナの西岸地区に派兵してくれるよう、ヨルダン政府に打診しているようだ。 オルメルト首相に言わせれば、ヨルダンのベドウインで構成される特殊部隊は、ゲリラ対応の上で最も優れており、西岸の治安維持に最も効果的であり、マハムード・アッバース議長体制を支援できると説明している。

 しかし、ヨルダン政府はこれを、全面的に拒否しているようだ。確かに、西岸地区は1987年まで、ヨルダンが管轄し、自国領土という認識を持っていた。したがって、西岸に領有権を完全に放棄したいまも、何らかの義務があるはずだ、ということだろうが、あまりにも乱暴すぎよう。  それなら、エジプトもガザ地区の治安責任を持つのか、ということになろう。あるいは、そうなった場合、エジプトには十分に対応能力があるが、ヨルダンの場合は、自国内に多数のパレスチナ人を抱えていることから、西岸への派兵は、ヨルダン国家そのものの存続に関わってくる、重大問題に発展しかねない。

 イスラエルがヨルダンの王制をパレスチナ人に打倒させ、パレスチナ人を西岸から追放し、ヨルダンをパレスチナ人の国家にする、というのなら話は別だが。