ガザで起こったファタハとハマースの戦闘の後、ご承知のとおり、ファタハのメンバーは、大慌てでガザから逃げ出した。そのことは、これまでのファタハの内部事情を知ることができる、多くの証拠書類や物件が、ハマースの手に渡ったことを意味していた。

　イスラエルのエルサレム・ポストによれば、ガザの戦闘からほぼ２ヶ月が過ぎた今、ハマース政府はＰＬＯの資金の使途が、でたらめであった多くの書類を手にし、その一部を公開し始めた。しかも、これらのハマースの提示する、ＰＡの汚職に関する証拠書類が偽物ではないことを、ＰＡに詳しいジャーナリストを使い、チェックしている。このジャーナリストは、すべての書類が本物であることを認めているのだ。

　今回公開された書類は３０点で、アラファト議長がＰＡの最高責任者であった、１９９４年から２００４年までのものだ。以下は主な項目だ。 ：アラファト議長は彼のメデイア・アドバイザーの娘がロンドンに留学するために、１万ドルをＰＡの資金から引き出し彼に与えた。

：ＰＡ幹部の子息の授業料９０００ドルを毎年ＰＡ資金から与えていた。 ：ＰＡは世界中の事業に投資しているが、レバノンには巨額な資金を投入してる。

：ＰＡのレバノン代表は豪邸を買い与えられ、高級車も購入し使用している。彼の子息の結婚式には、ＰＡから４万ドルが結婚式の費用として提供された。また彼の娘の乗用車が事故を起こすと、１３万ドルが与えられた。 ：ＰＡの法律では、治安軍が経済活動をすることも、税を徴収することも禁止されているが、実際には行われていた。

　問題はこれらの一連の汚職資金の不正使用が、現在、マハムード・アッバース議長が新たに指名した、サラーム・ファッヤード首相がＰＡの財務大臣の時代にも行われていたという点だ。 　これらの事例は、ほんの一部であろう。アラファト議長の時代のＰＡも、マハムード・アッバース議長の現在も、ＰＡの資金の使用状況にあまり変化はあるまい。もちろん日本からの援助も、そのようなでたらめな、不正使用の埒外にあるわけではない。

　最近、イギリスのＢＢＣ放送のネット・ニュースには、西岸地区がアメリカのマイアミのように、豪邸が立ち並んでいると報じている。これらの豪邸建設資金には、日本の人道援助も多分に含まれているのだ。それを日本政府は日本国民に、どう説明できるのだろうか。