故サダト大統領の甥の立候補を阻止

2007年7月22日

 エジプトが戦争国家から開発と発展、平和国家へと大変化していく、基礎を築いた故サダト大統領の甥が、国会議員に立候補しようとしたが阻止されている。
彼の名はムハンマド・サダト、彼の立候補の資格を裁判所が認めなかった根拠は、彼が自身の会社を破産させているということに起因している。

 しかし、実はそれが理由なのではなくて、他の理由が彼の立候補を阻止したのではないか、という噂がエジプトではもっぱらだ。それは、エジプト国内でムバーラク大統領が、次男ガマールに大統領職を継ぐのではないかという噂が、真実味を帯びてきているからであろう。

 エジプト国内の経済状態は、相対的には悪くないのだが、貧富の差が大幅に広がり、不満を抱く中低所得者層が生活苦に追い込まれているからであろう。年間のインフレ率は30パーセント前後と高く、庶民は取り残された感が強い。

 そうした中で、エジプト国民の人気を集めているのが故サダト大統領だ。その甥が国会議員に立候補し、当選することになれば、少なからぬ影響をエジプト国内政治に及ぼす、と思われるからであろう。

 そうした認識から、アラブで最も人気が高い衛星テレビのアルジャズイーラが、ムハンマド・サダト氏をインタビューし、彼の意見を放映した。

 そのアルジャズイーラ・テレビは、同様にエジプトの著名な詩人で作詞家の、アハマド・ファワード・ナグム氏を登場させ生放送をしている。彼はこのインタビューの最後に詩を披露したが、その内容はムバーラク大統領の次男ガマール氏に対する、手厳しい批判であった。

 アメリカが民主化を強く求めている中で、ムハンマド・サダト氏の立候補を阻止することは、少なからぬ波紋を、ムバーラク大統領とアメリカとの間に生み出すのではないか。