アラブ世界のトルコ接近

2007年7月 9日

 イギリスがオスマン帝国を分断する工作の上で、イギリスはオスマン帝国の非難を繰り返した。そしてついに、サウジアラビアの王族と手を結び、アラブのオスマン帝国からの分断(オスマン帝国の解体)に成功した。  以来、つい最近までアラブ諸国のトルコに対するイメージは、占領国、支配国といったものであったが、9・11時件以後、大幅にトルコに対するイメージは改善されたようだ。

 日曜日の夜に、トルコから来た政府の要人と夕食を共にしたが、彼はアラビア語フランス語イタリア語英語が堪能であることか、頻繁にアラブ諸国にも出かけているということだった。 その折に会見するアラブ各国のリーダーたちの、トルコのエルドアン首相に対する発言が、尊敬に満ちたものになってきているということだ。外交辞令もあるだろうが、エルドアン首相に対し「イスラームのリーダー」という呼びかけをするアラブの首脳が実に多いということだ。

 無理からぬことであろう、湾岸諸国もパレスチナもシリアも皆、いまではアメリカの横暴の前に辟易しているのだ。そうしたなかで、トルコの仲介や調停を求めているのだ。トルコにはその能力があるし、その役割を果たしていく強い意思もある。アラブ諸国のトルコに対する期待と対応の変化に、日本政府は気がついているのだろうか。 アメリカは場合によっては、自分の国を危険にさらしかねない、という不安もある、アメリカがイランとの間に戦争を起こせば、イランは必要上から、アラブ湾岸諸国のアメリカ軍基地や、石油施設を攻撃することになろう。

 アラブ各国はいま、アメリカにどれだけ不満を抱いていても、それを口に出来ない弱い立場にある。そのアラブ湾岸諸国の苦境の中で、トルコの存在が大きくなってきているのであろう。 今後トルコは、確実にアラブをはじめとする、中東諸国のなかで主導的な立場に立っていくであろう。エルドアン首相にはその意気込みがあり度胸もある。今世界は彼のような、強いリーダーを必要としているのだ。

 同時に、明確な発言を期待されてもいる。日本が世界に対して発言していくことを希望するのであれば、日本の官僚や政治家、自分の考えを明確にし、それをわかりやすい言葉で発言する必要があろう。それなしには、日本は世界の中で三等国に成り下がっていこう。