イランもイラクも世界的有数の産油国として知られている。その大産油国がいま、石油不足で苦しんでいるのだ。 イランの場合には、アメリカを中心とする西側先進諸国による経済制裁で、石油施設の修理や、新たな製油所の建設が出来なかったからだ。このため、イランではガソリン不足から、自家用車に対するガソリンの販売制限が、政府によって決められ、大問題となっている。
周辺諸国から輸入されるガソリンなど、石油製品の価格は高すぎて、一般庶民には手が出ない状態になっているのだ。このために、イラン国民の不満が高まり、政府に対する支持も激減してきている。 産油国でガソリン不足が起こり、その結果政府が不安定化していくということは、常識では考えられないことなのだが、実際に起こっているのだ。
同様に、イラクでも石油不足が社会問題になっている。この国の場合は戦闘が原因で、石油施設の多くが破壊されていることによる。少なくなった石油やガソリン供給を受けようとして、ガソリン・スタンドに集まっているところに、テロ攻撃が行われるという、悲惨な出来事も起こっているのだ。 イラクやイラン以外にも、石油不足で苦しんでいる国が、世界にはたくさんある。原油価格が1バーレル当たり70ドル台にまで上昇したため、必要なだけの石油を、買えなくなっている国がたくさんあるのだ。
これらの国では、当然の帰結として、石油不足が自国産業にも、暗い影を落としている。つまり、農業やその他の産業に必要な、エネルギーの供給が出来なくなっているのだ。 日本の隣国である中国も、いま必死で、世界中から石油を購入するために、最大限の努力をしているのは、エネルギー不足という事態が発生した場合に、この国が受けるダメージが、あまりにも大きいと考えているからであろう。
こうした国々とは逆に、産油国の多くは、高騰する石油価格によって、莫大な収入が入り、金の使い道に悩んでいる、という異常な現象が起こっている。 産油国のひとつであるロシアは、膨大な対外債務を抱えていたが、石油価格の高騰で得た収入で全ての対外債務の返済を終え、再度世界の大国になろうと動き出している。その結果、これまでしばらくのあいだ姿を消していた、アメリカとロシアの新たな緊張関係が生まれてさえいる。
アメリカ一国による石油エネルギー資源の独占ゲームは、全く予期しなかった、多くの新しい問題を世界にばら撒いているようだ。その異常な事態は、大産油国であるアメリカでも、ガソリン価格の高騰を生み、一般庶民にとっては大きな頭痛の種となっているのだ。
アメリカがイラクに軍事侵攻してから、すでに4年が過ぎたが、いまだにイラク国内では不安定な状態が続いている。この期間派兵されたアメリカ軍兵士は、公式発表でも、すでに3500人以上が死亡している。
イラク国内は内戦状態になっていることを認めるべきだ、という考えと、内戦状態にあることを認めるべきではない、という考えがアメリカ国内では飛び交っているが、毎日、確実にアメリカ軍兵士の中から犠牲者が出ているだけでなく、イラク国民の中からも多数の犠牲者が出ている、という現実は動かしがたい。
そこで、何とか現状から逃れようとして、アメリカの二人の学者が新提案を発表した。一人はジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院のエドワード・ジョセフ氏、もう一人はブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン氏だ。
彼らの考えでは、イラクを三分割し、クルド、シーア、スンニー住民をそれぞれの地域に、定住させるというものだ。
クルド人については、すでに自治区が出来上がって、分離独立状態にあり、当地域は安定化に向かっているが、スンニー派地域やシーア派地域については、この限りではない。
両氏の考えでは、シーア地域に居住するスンニー派住民は、スンニー派地域に移住させ、スンニー派地域に居住するシーア派住民は、シーア派地域に移住させるというものだ。
もちろん、その計画を実行するに当たっては、膨大な予算が必要になるであろうことは、両氏もわきまえている。しかし、居住地を区分することによって、内部でのテロは激減するだろうというものだ。
この考えについては、アブドルアジーズ・ハキーム師を中心とするSIICは、以前からシーア派地域を分離独立させたいと考えており、なんら反論はあるまいが、もう一人のシーア派リーダであるモクタダ・サドル師は、イラクを分割することに強く反対している。
このイラクのソフトな三分割案は、あまり意味が無いと思うのだが,あるいは、ブッシュ政権のアメリカ国内での不評をごまかすための、一時的な提案かもしれない。
周辺諸国から輸入されるガソリンなど、石油製品の価格は高すぎて、一般庶民には手が出ない状態になっているのだ。このために、イラン国民の不満が高まり、政府に対する支持も激減してきている。 産油国でガソリン不足が起こり、その結果政府が不安定化していくということは、常識では考えられないことなのだが、実際に起こっているのだ。
同様に、イラクでも石油不足が社会問題になっている。この国の場合は戦闘が原因で、石油施設の多くが破壊されていることによる。少なくなった石油やガソリン供給を受けようとして、ガソリン・スタンドに集まっているところに、テロ攻撃が行われるという、悲惨な出来事も起こっているのだ。 イラクやイラン以外にも、石油不足で苦しんでいる国が、世界にはたくさんある。原油価格が1バーレル当たり70ドル台にまで上昇したため、必要なだけの石油を、買えなくなっている国がたくさんあるのだ。
これらの国では、当然の帰結として、石油不足が自国産業にも、暗い影を落としている。つまり、農業やその他の産業に必要な、エネルギーの供給が出来なくなっているのだ。 日本の隣国である中国も、いま必死で、世界中から石油を購入するために、最大限の努力をしているのは、エネルギー不足という事態が発生した場合に、この国が受けるダメージが、あまりにも大きいと考えているからであろう。
こうした国々とは逆に、産油国の多くは、高騰する石油価格によって、莫大な収入が入り、金の使い道に悩んでいる、という異常な現象が起こっている。 産油国のひとつであるロシアは、膨大な対外債務を抱えていたが、石油価格の高騰で得た収入で全ての対外債務の返済を終え、再度世界の大国になろうと動き出している。その結果、これまでしばらくのあいだ姿を消していた、アメリカとロシアの新たな緊張関係が生まれてさえいる。
アメリカ一国による石油エネルギー資源の独占ゲームは、全く予期しなかった、多くの新しい問題を世界にばら撒いているようだ。その異常な事態は、大産油国であるアメリカでも、ガソリン価格の高騰を生み、一般庶民にとっては大きな頭痛の種となっているのだ。
アメリカがイラクに軍事侵攻してから、すでに4年が過ぎたが、いまだにイラク国内では不安定な状態が続いている。この期間派兵されたアメリカ軍兵士は、公式発表でも、すでに3500人以上が死亡している。
イラク国内は内戦状態になっていることを認めるべきだ、という考えと、内戦状態にあることを認めるべきではない、という考えがアメリカ国内では飛び交っているが、毎日、確実にアメリカ軍兵士の中から犠牲者が出ているだけでなく、イラク国民の中からも多数の犠牲者が出ている、という現実は動かしがたい。
そこで、何とか現状から逃れようとして、アメリカの二人の学者が新提案を発表した。一人はジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院のエドワード・ジョセフ氏、もう一人はブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン氏だ。
彼らの考えでは、イラクを三分割し、クルド、シーア、スンニー住民をそれぞれの地域に、定住させるというものだ。
クルド人については、すでに自治区が出来上がって、分離独立状態にあり、当地域は安定化に向かっているが、スンニー派地域やシーア派地域については、この限りではない。
両氏の考えでは、シーア地域に居住するスンニー派住民は、スンニー派地域に移住させ、スンニー派地域に居住するシーア派住民は、シーア派地域に移住させるというものだ。
もちろん、その計画を実行するに当たっては、膨大な予算が必要になるであろうことは、両氏もわきまえている。しかし、居住地を区分することによって、内部でのテロは激減するだろうというものだ。
この考えについては、アブドルアジーズ・ハキーム師を中心とするSIICは、以前からシーア派地域を分離独立させたいと考えており、なんら反論はあるまいが、もう一人のシーア派リーダであるモクタダ・サドル師は、イラクを分割することに強く反対している。
このイラクのソフトな三分割案は、あまり意味が無いと思うのだが,あるいは、ブッシュ政権のアメリカ国内での不評をごまかすための、一時的な提案かもしれない。