中東世界は多くの組織が存在し、それは外部の国々との関係を維持しながら存在し続けている。それだけに、各組織の思惑で出される情報や憶測が、常に大量に飛び交っているのだ。
そのなかから真実に近い情報をより分けるのは、真面目にやればやるほど困難な作業になってくる。今日の午後、ある中東出身の友人から、次のような情報が届けられた。

　パレスチナのファタハ組織の治安部門の最高責任者であるムハンマド・ダハラーンと、サウジアラビアのバンダル・ビン・スルタンが、レバノンのヘズブラのトップ・ナスラッラーの暗殺を計画しているという話だ。
一概には信じがたいが、全くのでたらめともいえないところがこの手の情報の複雑なところなのだ。イスラエは昨年夏のヘズブラとの戦争で、国内的には分裂し、危険な状況が生まれている。
　こうしたなかで、イスラエルが国民の意思を統一し、外敵と対峙するためには、新たな戦争が起こるか、隣接国との間に緊張が高まるか、あるいは仇敵が殺されるかしなければなるまい。
その意味では、ヘズブラのナスラッラーの暗殺は、最も歓迎される話であろう。しかも、その役割をファタハのムハンマド・ダハラーンが担い、ガザでの敗北の名誉回復を果たすとすれば、これも結構な話であろう。

　ムハンマド・ダハラーンがイスラエルの指示のままに動いているという評価は、中東全域に伝わり知られていることであり、もし彼がそうした挙に出ても、誰も驚くまい。
ここにもう一人の役者が登場するが、それはサウジアラビアの元駐米大使バンダル・ビン・スルタンだ。彼もまた知りすぎた男であろう。

　ムハンマド・ダハラーンもバンダル・ビン・スルタンも、中東世界ではもう賞味期限切れということではないのか。そこから出てきたのがナスラッラー暗殺情報であろう。
しかし、この手の情報（憶測）は、時として現実になる場合があるから、無視することは出来ないのだ。記憶の片隅に入れておく必要があろう。そして、その逆も真なりが中東世界なのだ。