ダハラーンの言い訳と分析

2007年7月 3日

 ファタハのガザ地区における治安部門の最高責任者であるムハンマド・ダハラーンが、ガザにおけるファタハの敗北の後に興味深いことを語っている。
彼に言わせれば、ファタハがハマースにガザで敗北したのは、イスラエルによってファタハが2000年以来、280の戦闘部隊を解散させられていたことと、ファタハの戦闘部隊が、パレスチナ内部での戦闘を想定していなかったからだ、ということになる。

 加えて、ハマースはイスラエルがファタハを潰すために作ったものであるとも言及している。確かに、アラファと議長の時代に、PLOが唯一のパレスチナ代表であるということを否定するために、イスラエルはハマースの活動を黙認していた。

 しかし、そのこととイスラエルとハマースが一体であるというムハンマド・ダハラーンの主張とは別問題であろう。ハマースは戦略的にはイスラエルとの非公式な連携の部分はあったとしても、独自の方針を持っていたし、これからもハマース独自の立場を堅持していくのではないかと思われる。

 ムハンマド・ダハラーンはイランとカタールが、ハマースの最大のスポンサーであリ、イランとカタール両国はそれぞれに、4億ドルをハマースの銀行口座に振り込んだと語った。
現在エジプト、ヨルダン、サウジアラビアなどは、ファタハとハマースの再度の連立内閣の結成を呼びかけているが、いままでのところマハムード・アッバース議長はこれを拒否している。ムハンマド・ダハラーンは「ハマースの手はファタハの血で汚れており、両者が連帯する時期ではない。」と語った。

 ここで気になるのは、なぜ早い時期にエジプト、ヨルダン、サウジアラビアがファタハとハマースの第二次連立内閣の組閣を、マハムード・アッバース議長に提案したのかということだ。
そして、何故カタールがファタハではなく、ハマースの側を支援をしたのか、ということだ。述べるまでも無く、カタールはアメリカとの特別な関係にある国だから、今回のカタールの立場が腑に落ちないのだ。そして、ムハンマド・ダハラーン氏によれば、カタールのアルジャズイーラ・テレビは、ハマース擁護の報道をしているということになる。

 ハマースによるガザでの蜂起と勝利には、世間で語られているのとは全く違うシナリオがあるのではないか。少なくとも、その可能性を探ってみる価値はあろう。