PKKが動けばアメリカ軍が干上がる

2007年7月 9日

 「風が吹けば桶屋が儲かる」という話が日本にはあるが、どうやらトルコ軍がイラク北部のクルド地区を越境攻撃すると、イラクに駐留するアメリカ軍は、干上(物資不足に陥る)がってしまう可能性があるようだ。
以前に、中東TODAYでイラクの反米組織のメンバーが、国内で橋を破壊するテロ活動を行っていると報告したが、その目的は、アメリカ軍に物資が届きにくくするためだろう、という推測をした。

 最近になって、アメリカ政府はトルコがクルド地区に対して、PKK掃討作戦を目的に越境攻撃することに、強く反対している。

 本来であれば、アメリカ政府はPKKをテロリスト組織と断定しているのだから、トルコ軍がPKKに攻撃を加えることに、反対する筋合いはないのだが、アメリカ自身ではPKK 対策に何の手も打たず、イラク政府に対してもこれといった指示をしていない。

 当然のことながら、トルコ側、なかでも軍部は、このアメリカの煮え切らない対応に腹を立てており、トルコ政府に対して、イラクへの越境攻撃許可を、強く要請している。
いままでのところ、トルコ政府エルドアン首相は明確な返事をしていないが、選挙も控えていることから、トルコ国民の多くがPKKのテロに激怒していることから、何らかの手が打たれえる可能性も否定出来無い。

 実際に、トルコ軍がPKK掃討作戦で、イラク北部に越境攻撃することになった場合、何が起こるかと考えてみると、最も顕著な影響は、トルコ経由でイラクに入っている物資の流れが、止まるということだ。そうなれば、一番困るのはアメリカ軍であろう。

 「風が吹けば桶屋が儲かる」のイラク・トルコ版は「PKKが動けばアメリカ軍が干上がる」といいうことになるということだ。