パレスチナ受刑者250人が釈放されるが

2007年7月 9日

 イスラエル政府は、マハムード・アッバース議長の強い要請があり、ガザでの敗北の後、彼の立場を強化することも配慮してか、イスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人のうち、250人を釈放することを決定した。
しかし、そのことは、ほとんどマハムード・アッバース議長の現在の立場を、強化することには役立たないのではないか、という予測がパレスチナ人の間から出ている。

 それは、今回釈放されることが決まった人たちの状況が、パレスチナ人を喜ばせる性質のものではなかったからだ。その釈放の内容とは、以下のようなものだ。

1:釈放される250人は、全員がマハムード・アッバース議長の組織、ファタハのメンバーに限られている。
2:彼らの刑期はほとんど終わりかけており、釈放時期を少しだけ早めたに過ぎない。
3:PFLPやDFLP、イスラミック・ジハードのメンバーは釈放者のリストに一人も含まれていない。
4:イスラ人を殺傷したパレスチナ人受刑者は、釈放の対象になっていない。
5:20年以上裁判無しに投獄されている人たちが、釈放の対称になっていない。

 結果的に、今回のイスラエルによるパレスチナ人受刑者の釈放は、マハムード・アッバース議長を窮地に追い込むことはあっても、彼をサポートすることにはならないというのだ。
ファタハの幹部の中からも、釈放対象とならなかった人たちを、今後どうするのかということで、マハムード・アッバース議長に対する不満が出ているが、ファタハ以外のパレスチナ各派の人たちは、これではマハムード・アッバースはパレスチナ全体の大統領ではなく、ファタハのメンバーだけの大統領ではないかと非難している。

 ちなみに、現在イスラの刑務所に収監されているパレスチナ人の数は、10、000人にも上る人数に達している。彼らにも親兄弟家族がいるということだ。