産油国イランがガソリン不足で国内不安定化?

2007年6月28日

 イランは1979年のホメイニ革命以来、アメリカを中心とする西側先進諸国との関係がギクシャクし、経済を中心とした制裁を受けてきている。  このため、イランの石油施設は製油所、油田の補修、パイプラインのいずれの分野でも、最近では問題が発生しているようだ。つまり、パイプラインについて言えば、延長工事がスムーズに出来ないし、修理が思うように進んでいないのだ。

 同様に、原油から石油製品を作り出す製油所も、既存のものは老朽化し、現在では修理が思うように出来ていないし、大型の新規の製油所の建設も出来ていない。今までに建設された設備で、イランはいわば細々と製油し、市場に製品を供給している状態なのだ。  笑い話のようだが、イランは現在、原油の生産は350-400万バーレル/日と多く、石油輸出収入は450億ドル程度に達しているのだが、国内では石油製品の不足が大問題になってきているのだ。

 このため、イランはこれまで周辺諸国から石油製品、たとえば灯油やガソリンを輸入してきていたのだ。その国内市場における輸入製品の占める割合は、40パーセント程度にも及んでいるということだ。  しかし、ここにきて石油製品の価格が高騰したために、イラン政府が販売しているガソリンは、1リット11セント程度なのだが、外国から輸入したものは、その何倍もの価格になっているようだ。

 このため、イラン政府はガソリンの輸入を制限するとともに、タクシー・ドライバーの場合には、1ヶ月800リットルまでガソリンを公定価格で買えるのだが、一般の乗用車に対するガソリンの供給量は制限され、1ヶ月1台あたり100リットルにするという発表をした。  イランに対するアメリカやイギリスの国内撹乱工作が進む中で、石油製品の品不足と価格の高騰は、新たな国民の不満材料となり、政府を悩ませそうだ。 

イランのような娯楽の少ない国では、自動車による家族総勢での郊外への移動や、若者のオートバイや車のドライブは、数少ない娯楽であり、国民の不満を緩和する手段なのだが、、、。 産油国が石油供給不足で国内不安を高めていくことになり、もし体制が打倒されるようなことになるのであれば、まるでブラック・ユーモアを、地で行くようなものではないか。