戦わず投降したファタハ将校の本音

2007年6月20日

 エルサレム・ポスト6月16日付けのネットに、興味深い記事が載っていたので要点だけをご紹介しよう。 あるファタハの治安将校と彼の仲間約50人が、戦わずにハマースの軍に投降したというのだ。彼らはマハムード。アッバース議長の周辺を固め、最もエリートの部隊員であったということだ。

 しかし、彼らが戦わずしてハマース側に投降したのには、それなりのわけがある。投降した将校の証言によれば、彼らは過去16ヶ月に渡って、給与を満額で支給されていなかったというのだ。そのため彼らは、家族を十分に養うことができなかったというのだ。 ファタハの幹部たちはマハムード・アッバース議長を始め、ガザ地区の治安最高責任者であるムハンマド・ダハラーンも、西岸のラマッラでエアコンの効いたホテルでのんびりしているというのだ。

確かにガザ地区治安最高責任者のムハンマド・ダハラーンは、ガザの激戦のさなかにはカイロに居り、その後西岸に入ってマハムード・アッバース議長に忠義面を見せている。 ところが、マハムード・アッバース議長らはラマッラから、マハムード・アッバース議長の空っぽになったガザの住居を、命がけで守れという命令を発したというのだ。

投降した将校は「腹が減っては戦ができない、われわれの多くが戦闘の始まる前から、ハマースの勝利を予測していた。だから戦闘が始まる前に投降して、ハマース側に加わった者もいる。」と語っているこう この情報はイスラエルのエルサレム・ポストが流したものであり、100パーセント信頼できるとは思えないが、十分にありうる話だ。この投降した将校のような不満が、ファタハの戦闘員の中にあるからこそ、簡単にガザを放棄したのであろう。それでは西岸はどうか?ガザとそう変わりないのではないか。

評論家のハイム・マルカ氏は「ブッシュ大統領がマハムード・アッバース議長を強化するとは思えない。」と語っている。そのとおりであろう。他のイスラエル評論家に言わせれば、PLOはこれまでいくら合意しても、ひとつも実行しなかった、彼らは嘘つきだ、と酷評している。 イスラエルとアメリカがマハムード・アッバース議長のファタハを支援し、西岸は経済援助で豊かになり、ガザに対してはサンデー・タイムズが流したように、イスラエルが大量虐殺作戦を取るとは考えにくいのだが。